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マンションのバリアフリーリフォーム|あなたに必要なレベルは?

高齢のご家族との同居、ケガや病気、将来の備え──。

マンションでバリアフリーリフォームを検討する理由は、ご家庭によって大きく異なります。ただ、共通しているのは 「どこまで工事できるのか?」「費用は?」「補助金は?」 といった不安が多いことです。

本記事では、設計事務所+工務店として多くのマンションリフォームを手掛けてきた「あすなろ建築工房」の視点から、マンションのバリアフリー化に必要な情報を網羅的に解説します。

どこまでバリアフリー化すれば安心?将来を見据えた「最適レベル診断」

マンション手摺イラスト

「親の生活が心配で、今のうちにできる備えを知りたい」
「マンションだと制約も多いと聞くので、どこまで必要か判断できない」
「車椅子を想定すべきか、段差だけ直せばよいのか…悩んでいる」

バリアフリーとひと口に言っても、必要な範囲はご家庭によって大きく異なります。

ここでは、まず“過不足のない工事範囲”を選べるように、バリアフリーを3つのレベルに分けて整理してお伝えします。

必要なバリアフリーレベルは?世帯別・ニーズ別に紹介

この表を見るだけで「何をどこまでやればよいか」がひと目で分かると思います。まずは、将来の暮らしをイメージしながら、どのレベルが自分たちに近いかを確認してみてください。

🔽バリアフリー3レベルまで

レベル工事の内容例向いている世帯総額費用の目安
レベル1:軽微改善段差解消・手すり設置・滑りにくい床材へ変更50〜60代で「将来の備え」を始めたい世帯10〜40万円
レベル2:動線改善引き戸化・廊下幅の確保・床材全面変更介助が必要になる可能性がある世帯50〜150万円
レベル3:車椅子対応フル改善洗面台高さ調整・トイレ拡張・動線再設計車椅子利用を想定した世帯150〜500万円以上

レベルが上がるほど「生活動線」「水回りの可動範囲」「扉幅」の改善が必要になるため、工事範囲が広がり費用が大きくなります。特にレベル3は、間取り変更や設備交換も伴う場合が多く、マンションの構造によっては制約を受けることもあります。

※部位別の細かな費用相場は、後半の「バリアフリー工事の費用と補助金」セクションで詳しく解説します。

大掛かりな動線改善や設備交換を伴う場合、バリアフリーと同時に“リノベーション要素”が必要になるケースも多くあります。マンション全体の価値や暮らし心地を整えたい方は、以下の記事が参考になります。

車椅子も想定するなら必須の“動線チェックリスト”

車椅子での生活を考えると、段差以上に重要なのが「通れる幅」「回転できる広さ」「出入りのしやすさ」です。

ここでは最低限クリアしたい寸法の目安を紹介します。

🚪車椅子対応の動線チェック(最低限これだけは必要)

チェック項目必要寸法の目安
廊下幅750mm以上
扉の有効幅750mm以上
トイレの介助スペース600mm以上
玄関の段差30mm
回転スペース直径1500mm

これらは「車椅子の標準寸法」と「介助者が横に立てるか」という観点で導かれる寸法です。実際に車椅子の幅は70cm以下のものが大半です。物理的には70cm以上あれば通ることが可能です。介助者の握るハンドルの余裕を見ると75cmは最低でも必要となります。無理なくスムーズに通るには80cmの幅があると安心です。

現地での採寸はメジャーさえあれば誰でも可能です。

チェック

しかし、マンションの場合“壁の移動ができない位置”が存在するため、専門家による現地確認が不可欠です。

マンション特有の「できる/できない」バリアフリー工事

マンションは構造上の制約や管理規約により、できる工事とできない工事が明確に分かれます。

ここでは、特に制約の大きいポイントに絞って解説します。


🛁浴室の段差解消は「ユニットバス方式」に左右される

浴室の床高さは、配管スペースの確保が必要なため完全なフラット化が難しい場合があります。
詳しくは以下の記事で“できるケース・できないケース”を紹介しています。

👉 「工事前に知らないではすまない!マンション浴室リフォームのルール


🪟窓・サッシは「共用部分」のため基本的に交換NG

マンションの窓枠・サッシは共用部に該当し、原則リフォームできません。
カバー工法でのサッシ交換やガラスのペアガラス化などは可能な場合もありますが、マンション理事会の承認が必要となります。サッシの内側に設置する内窓(インナーサッシ)なら設置可能です。

👉 「マンションの窓リフォームしたら結露・寒さ・騒音から解放される?


バリアフリー工事は「どこまで必要か」と「マンションでできる範囲」をセットで考えるのが重要です。レベル診断で自分たちに必要な範囲を把握し、動線チェックで必要寸法を確認することで、後悔のない計画につながります。

バリアフリー工事はいくら?補助金の種類と“損しない進め方”

「想像以上に高かったらどうしよう」
「補助金を使えばどれくらい安くなる?」
「中古購入+リフォームだと総額はいくら?」

費用面の不安はバリアフリーリフォームで最も多く寄せられる質問です。

ここでは、部位別の費用相場と補助金の種類、さらに中古マンションと組み合わせる場合の“費用ロードマップ”について解説します。

部位別の費用相場(マンションバリアフリー)

最も気になる「どこにいくらかかるのか?」を、部位ごとに整理しました。工事内容の違いによって金額差が生まれる理由も合わせて解説します。

🔽部位別バリアフリー費用

工事内容費用相場備考
玄関の段差解消3〜10万円スロープ施工や框調整
トイレ・廊下・浴室への手すり設置3〜8万円下地補強が必要
扉の引き戸化10〜30万円撤去不可の壁がある場合は不可
浴室入口の段差解消10〜150万円ユニットバス構造に依存
洗面所の高さ調整10〜50万円造作で可変性を持たせられる
車椅子対応トイレ拡張40〜120万円配管位置で制約あり
動線全体の再設計50〜500万円以上間取り変更が伴う

費用差が生まれる一番の理由は「マンションの構造」と「排水位置」。特に浴室やトイレは躯体の都合で位置を動かせないケースがあり、できる範囲が限られます。

部位ごとのバリアフリー工事は数万円〜数十万円で対応できるケースが多い一方、
車椅子対応のトイレ/洗面室の拡張、浴室の間取り変更、動線の抜本改善などは
マンションの構造上「部分工事だけでは対応できない」ことがあります。

こうした場合、結果的に “スケルトンリフォームに近い工事” が必要になるケースがあるため、
より大規模になった場合の費用感を把握しておくことは非常に重要です。

大規模リフォームになった場合の費用が知りたい方は、以下の記事が参考になります。

マンションのバリアフリー工事で使える補助金

マンションでバリアフリー工事を検討する際は、“介護保険系”“自治体独自の住宅改修助成”が中心となります。

どれも 適用条件が細かく、申請は工事前が必須 のため、計画初期から確認しておくことが重要です。ここでは当社が主に手掛けている神奈川県を例にご紹介します。

🟧 介護保険住宅改修(全国)|もっとも利用者が多い制度

■ 概要

要介護・要支援の認定を受けている場合、
バリアフリー工事費の7~9割が補助される制度です。

■ 対象工事例

  • 段差解消(玄関・浴室・リビングなど)
  • 手すり設置(玄関・トイレ・浴室・廊下)
  • 扉の交換(開き戸 → 引き戸)
  • 滑りにくい床材への変更

■ 補助額の目安

  • 上限:20万円(+住宅改修費支給対象)
  • 実質の自己負担:2〜6万円前後に収まるケースも多数

※同じ家に住んでいても、要介護度によって支給区分が変わるため注意が必要です。

🟧 横浜市|高齢者等住宅改修助成(マンション対応)

■ 概要

転倒・介護予防を目的にした住宅改修への補助制度で、マンションでも利用可能です。

■ 対象工事

  • 手すり設置
  • スロープ設置
  • 床の段差解消
  • 車椅子での移動を助ける改修(廊下幅の確保 等)

■ 補助額の目安

  • 上限:10〜20万円
  • 補助率:工事費の1/2以内

※所得制限あり。65歳以上の高齢者世帯が中心。

🟧 川崎市|住宅改善助成(高齢者向け)

■ 概要

高齢者の転倒防止を目的とした改修に対し、最大10万円の助成が出ます。

■ 対象工事

  • 浴室・洗面の段差解消
  • 玄関手すり・スロープ
  • トイレ内の手すり
  • 床材の滑り止め対策

※マンションの場合は管理組合の承認が必要です。

🟧 相模原市|高齢者住宅改善給付(マンション可)

■ 対象工事

  • 段差解消
  • 扉の引き戸化
  • 滑り止め床工事
  • 浴室入口の改善

■ 補助額の目安

  • 上限:20万円
  • 補助率:工事費の1/3

🟩補助金の注意点(バリアフリー工事特有のポイント)

注意点解説
工事前申請が必須着工後は原則対象外。写真提出が必要な制度が多い。
マンション規約の確認が必要扉交換・床材変更は共用部に該当する部分があるため許可が必要。
完了検査がある実際に工事が補助対象に合致しているかの確認がある。
申請は施工会社が関与書類作成・写真管理などが必要。対応できない業者では申請が通らないことも。

特にマンションでは
“共用部=補助金対象外”になるケースが多く、
「どこまで専有部分に含まれるか?」という確認が必須です。

共用部への手摺の設置などは、マンションで申請する助成金の対象となるため、個人での申請は出来ません。

補助金は「知っているかどうか」で受け取れる金額が大きく変わります。

そのため、事前に
「補助制度に詳しい施工業者か?」も重要な判断基準になります。

中古マンション購入+バリアフリーの費用ロードマップ

中古マンションを購入してバリアフリー化したい場合、購入前のチェックから工事完了までの流れを理解しておくことがとても重要です。

ここでは、実際にマンションでバリアフリーリフォームを進める際のステップを分かりやすく順番に解説します。

① 物件選びの段階で「バリアフリー可否」を簡易チェックする
最初のポイントは、物件選びのタイミングでどれだけバリアフリーにできるかを把握しておくことです。まだ細かい仕様までは決めなくて問題ありませんが、

段差の数と高さ
通路幅(車椅子対応は80cm以上がひとつの目安)
浴室の段差とユニットバスの形状
✅トイレ奥行きや入口幅


など、最低限確認しておくと「この物件でできる範囲」「できない範囲」が大きくぶれません。

購入後に「そもそも段差が解消できない構造だった…」というトラブルを防ぐことができます。
② 購入前に管理会社へ “工事できるか” を相談する
中古マンションの場合、購入後に「工事NG」と判明すると大きな損失になるため、契約前に管理会社へ工事の可否を問い合わせておきます。

このとき重要となる判断ポイントは、

段差解消で躯体への影響がないか
トイレ内の拡張が可能か(配管位置で制約が多い)
浴室交換が可能か(ユニットバスの型番・床下の深さ)

などです。
特に「専有部の工事で完結するかどうか」が大きな判断軸になります。
③ バリアフリー工事の概算見積りを取得する(目安:50〜150万円)
工事できる範囲が見えてきた段階で、簡易的な見積りを取り、総費用のイメージを固めます。

金額差が大きいポイントとしては、

✅玄関や浴室の段差解消
✅扉の引き戸化
✅手すり設置のための下地補強
✅トイレ拡張
(配管移動の有無で大きく変動)
✅動線全体の再設計


などがあります。
なお、この段階で大きく間取りを変える話まで出てくると、「スケルトンリフォーム」レベルの工事になり、費用が跳ね上がることもあります。

そのため、バリアフリーの優先順位を整理しておくことが重要です。
④ 管理会社や理事会で工事内容の審議を受ける
見積りが出て工事内容が固まったら、正式に管理会社や理事会で審議が行われます。

判断の軸はどのマンションでもほぼ共通で、

✅管理規約に則った工事内容か
✅躯体(構造体)を壊さないか
✅防水層に影響がないか
✅共用部への影響がないか


という「マンション全体の資産価値を守る視点」に立っています。
手すり設置など、器具などを追加するだけの工事は比較的了承されやすく、
浴室交換やトイレ拡張は慎重に審議されます。

注意が必要なのが、床の変更を伴う工事です。

現在の床がカーペット敷きで、床を車椅子対応のためにフローリングにする場合などに注意が必要となります。管理規約で床の遮音仕様が定められている場合も多く、カーペットからフリーリングへの変更の場合には、基準に合ってるのかの確認が必要となります。

審議期間は一般的に2〜4週間ほどが目安です。
⑤ 補助金の事前申請を行う(ここが最重要)
バリアフリー工事の補助金は、
“工事前申請” が絶対条件 である制度がほとんどです。

対象となる工事は、

✅手すり設置
✅段差の解消
✅扉の引き戸化
✅滑りにくい床材への変更
✅転倒防止を目的とした住宅改修


などです。
神奈川県や横浜市・川崎市など自治体の制度に加え、介護保険による住宅改修制度(上限20万円)も利用できます。

申請書類は施工業者が代行することが多いですが、「対応できる業者かどうか」は重要なポイントです。
⑥ 工事日程・搬入経路・養生計画を管理会社へ提出する
正式に工事が承認されたら、次に工事日程や搬入ルールの調整に入ります。ここでは実務的な取り決めが必要になります。

✅施工日・作業時間
✅職人の出入り人数
✅エレベーター・廊下の養生
✅資材の搬入経路
✅騒音への配慮内容


車椅子対応の扉や床材など、サイズの大きい材料を扱う場合は、
廊下やエレベーターの壁に接触するリスクが高いため、養生は必須です。
⑦ 工事開始|バリアフリー工事は短期間で完了しやすい
実際の工事は、内容によっては驚くほど短期間で完了します。

手すり設置:半日
扉の引き戸化:1日
玄関の段差解消:1〜2日(*壁を動かす工事などには日数が必要となります。)
トイレ拡張:2〜3日
動線再設計:1週間以上程度

家具の移動も最小限で済むことが多く、
部分的な工事であれば、生活しながら工事を進められるケースも少なくありません。

このロードマップでは、中古マンション購入前の準備から、工事承認、補助金申請、そして実際の施工完了までの流れを紹介しました。

マンションのバリアフリー化は「買ってから考える」ではなく、
“買う前から計画に組み込む” ことで成功確率が高まります。

費用面は不安が大きい部分ですが、補助金や中古購入の流れを正しく理解すれば無駄のない計画が可能です。特にマンションでは“できない工事”を誤解すると費用が膨らむため、早めの相談が安心につながります。

マンション特有の制約で何ができて何ができない?失敗しないバリアフリー化の判断基準

「管理規約で断られるのでは?」
「浴室を広げたいが難しいと言われた」
「車椅子対応は無理と聞いて諦めかけている…」

こうした不安の背景には「専有部」と「共用部」の違いが分かりにくいことがあります。

ここでは“どこが工事できるのかを即理解できる表”と“制約が強い場所の対処法”をまとめました。

専有部・共用部の「できる/できない」

マンションリフォームの可否は、この表を見るだけで大枠が理解できます。

🔽できる/できない早見表

部位工事可能?理由
窓サッシ共用部扱い
玄関ドア共用部扱い
室内壁構造壁を除く
床材変更床構造の条件あり
扉交換室内は自由度が高い
浴室の段差配管勾配に依存
トイレ位置変更排水位置の制約

マンションのバリアフリーリフォームで最も誤解が多いのが「浴室」と「排水位置」。

基本的に水回りは位置固定ですが、同じ階の構造によって若干の調整ができることもあります。これは現地調査が不可欠です。

浴室・キッチン・床など“制約の強い場所”のバリアフリー化

バリアフリーは「やりたい場所ほど難しくなる」傾向があります。

特に浴室・キッチン・床は、建物構造・排水位置・防水ラインが絡み、できること・できないことの線引きが明確です。

ここでは、各場所で実現しやすい工事/難しい工事をより詳しく解説します。

🛁 浴室|段差解消は他の床への影響がある。拡張は慎重に判断

浴室は、バリアフリーの希望が最も多い場所のひとつです。

特に「出入り口の段差をなくしたい」という要望は 床のかさ上げが伴うため、廊下などへの影響があります。

「浴室そのものを大きくしたい」
「脱衣所側へ広げたい」
といった 間取りに関わる変更は、構造壁や排水勾配との関係で不可能なケースも多い のが実情です。

つまり、内部の設備交換や段差調整は○、面積変更は△ないしは×の傾向があります。

→ 浴室リフォームの制約や費用の考え方は、こちらの記事で詳しい話は解説しています。


🍳 キッチン|引き戸化・バリアフリー動線は◎/配置変更はハードル高め

キッチンのバリアフリーでよく相談されるのが、

「通路幅を広げたい」
「出入り口を引き戸に替えたい」
「小さな段差をなくしたい」
といった 「動線改善」タイプの工事です。

壁の位置変更を伴わない工事であれば簡易で済みますが、壁の位置変更が伴う場合は大きな工事となる場合もあります。

「キッチンの位置を移動したい」
「向きを大きく変えたい(壁付け → 対面式など)」
などは、排水管の勾配が確保できるかが最大のポイント。

床下に余裕がないマンションでは、移動量に大きな制限が出ることも珍しくありません。

「見た目は簡単そうでも、構造上の制約でできない」という典型例です。

→ キッチン位置変更が難しい理由や代替案は、こちらの記事でわかりやすくまとめています。


🪵 床|“全面フラット化”は遮音規定には要注意

マンションで最もバリアフリー化が望まれるのが「全面フラット化」です。
範囲によって工事の内容は大きく変わります。

  • 小さな段差の解消
  • 部屋ごとの高さを揃える
  • 玄関〜廊下〜リビングのフラット化

そのそも「なぜ段差があるのか」を考えてみると、その理由は「配管」です。廊下やリビングやダイニングは水を使う設備がありませんので、床はフラットです。一方で洗面所や浴室やトイレは、「水」を使う設備があるため「排水」が伴います。

この「排水」の高さが必要となるため、洗面所やトイレの床が上がっています。この段差を解消するためには「低い部部分」つまりは廊下やリビングなどの床を上げて、洗面所などの床の高さに合わせる必要があります。

そうなると問題になるのが、天井の高さです。マンションの場合は天井高さに制限がある場合が多くあります。それは「梁」です。「梁」は構造躯体となるので、削ったりすることは出来ません。床を上げてしまうとこの梁で高さが決まるので、元々が梁の高さが低い場合には床の高さを上げることは出来なるなります。

また床の高さを上げることで、玄関部分の段差が大きくなってしまいます。
このように「床を揃える」ことは、制限がいろいろと生じるので注意が必要です。

また注意したいのが、遮音規定(L値)の存在です。

マンションでは床材の硬さ・厚み・下地構造が決められており、
「好みのフローリングを選びたい」と思っても、管理規約上NGとなることがあります。

特に元々がカーペット敷きだった場合には要注意です。

そのため、

  • 使える床材の種類
  • 下地の組み方
    は事前に必ず確認が必要です。

→ マンション床リフォームの注意点・遮音規定の基礎は以下の記事が役立ちます。

マンションの床リフォームについて

■マンションで“特に難しい”バリアフリー要望

バリアフリー工事には、「構造・配管に触れる=難しい」という分かりやすい共通点があります。
以下は管理会社・設計者から制限されやすい代表例です。

❌ 実現が難しいケース

  • 浴室の大幅な拡張
     → 排水勾配・防水パンの位置が変えられないため。
  • トイレの移動・増設
     → 排水位置が固定されており、床下に余裕がない。
  • 間取りの大幅変更(壁撤去など)
     → 構造壁の存在により、壊せない壁もある。

これらはマンション固有の“躯体制約”に直接関わる部分で、どうしても限界があります。

■逆に“実現しやすい”バリアフリー

一方で、室内で完結する工事・躯体に触れない工事は工事日数も1日程度で済む場合もあり、管理組合の承認なしに行える工事もあります。

◎ 実現しやすいケース

  • 動線改善(通路幅の確保、家具配置の見直し)
     → 人の流れを変えるだけなら躯体に影響なし。
  • 扉の交換(開き戸→引き戸)
     → 建具交換のみで対応可能。
  • 段差解消(床レベル調整)
     → 簡単な段差解消設備で対応できる場合も多い。
  • 手すり追加
     → 下地があれば簡単に設置できる場合が多い。

これらは、数時間から一日程度の簡易な工事となるので、管理組合の承認なしに行うことが可能です。ただし基準については各マンションの規約で定められていますので、規約の確認が必要です。

もし「マンションで本当に希望が叶うのか?」と不安がある場合は、戸建てという選択肢も含めて検討してみてもよいでしょう。あすなろ建築工房はどちらも手掛けるため、偏らない視点で相談に乗ることが出来ます。

あすなろスタッフ

👉 あすなろ建築工房に相談してみる

また、将来の資産価値まで考えてバリアフリー以前に「戸建てで行うべきか?マンションで行うべきか?」迷っているならならこちらの記事も参考になります。

まとめ|マンションで後悔しないバリアフリー化の考え方

この記事では、マンションのバリアフリーリフォームに必要な要素を網羅的に解説してきました。最後に、重要なポイントだけをまとめてお伝えします。

📝ポイント

  • バリアフリーは「段階的」に考えると過不足がなくなる
  • 車椅子対応の場合は、寸法と動線の確保が最重要
  • マンション特有の“できる/できない”を理解することで無駄な費用を防げる
  • 補助金制度を活用すれば負担を抑えられる
  • 中古購入+バリアフリーは“ロードマップ通りに進める”と失敗しにくい

バリアフリーは“今の暮らしを楽にする”だけでなく、“将来の安心を買う”意味もあります。

もし「うちのマンションで本当にできるのか?」「予算内でどこまで可能?」と不安があれば、あすなろ建築工房へお気軽にご相談ください。

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