マンション

マンションの床リフォームは本当に自由にできる?

「中古マンションを購入して、自分たちのライフスタイルに合う床材へ変えたい。」
「子どもが走り回る音が下の階に響いていないか気になる…。」
「無垢材や床暖房に憧れるけれど、マンションでも可能なの?」

マンションにお住まいの方から、床のリフォームについては多くのご相談をいただきます。
しかし実際には、こんな“曖昧な不安”がつきまといやすいテーマでもあります。

「マンションは床を自由にリフォームできないのでは?」
「管理組合に怒られるかもしれない…。」

結論として、マンションでも床リフォームは可能です。
ただし、注意しなければならないのは、

  • 遮音性能(音の伝わりにくさ)
  • 管理規約(マンションごとのルール)
  • 選ぶ素材と工法が合っているか

の3点です。

本記事では、生活音・体感温度・デザイン性など、日常に直結する視点から、
後悔しない床リフォームの考え方を、建築と設計のプロ視点で丁寧に解説します。

目次

マンションの床は本当に自由にリフォームできる?

マンションの床は「専有部分」であるため、基本的には住戸所有者がリフォームできます。

しかし、床を伝って響く生活音は「上下階の住みやすさ」に大きく影響するため、床材には制限が設けられることが一般的です。

専有部分と共用部分の考え方

区分該当範囲工事の自由度解説
専有部分室内の仕上げ材(床・壁紙・天井など)比較的自由に変更できる床材の交換はこの範囲に含まれる
共用部分躯体(コンクリートスラブ)・配管・廊下・共用玄関勝手に変更不可遮音性能は建物の資産保護の観点で制約される

床そのものは交換できますが、床の下にあるコンクリートスラブはマンション全体の構造の一部であり、住民全員の共有財産です。

そのため、床仕上げの変更がスラブを通してほかの住戸に悪影響を及ぼす可能性がある場合、管理組合は制限をかけています。「自由にできる」ではなく「ルールに沿えば自由にできる」というのが正しい理解です。

管理規約に登場する遮音等級(L値 / ΔLL値)の意味

床リフォームを検討する際、まず確認するべきなのが遮音等級です。
これは「生活音がどれくらい階下に響くか」を示す指標です。

表記何を示すか生活イメージ
L-45(旧基準)衝撃音が伝わりにくい性能「小走り・おもちゃが落ちても聞こえにくい」
ΔLL-4(新基準)音の軽減効果の高さ「階下から苦情が出にくいレベル」

子どもがいるご家庭では、椅子を引く音、走る音、おもちゃが床へ落ちる音が、日常的に発生します。

この「衝撃音」がどれほど階下へ伝わるかが「住み心地の差」につながります。遮音性能を満たした床材を選ぶことは、単に規約を守るだけでなく、「家族とご近所の関係性を守る選択」でもあります。

専有部分でも管理組合への届出が必要な理由

「自分の家の工事なのに、届出が必要なの?」と疑問に思われるケースは少なくありません。

しかし、工事は共用部分を必ず通過するため、事前の調整が必要です。

工事で影響が出る場所なぜ影響が出るのか具体例
エレベーター資材搬入に使用する床材・工具の持ち込み
共有廊下養生が必要傷防止シートの設置
上下階振動・騒音が届く可能性解体・下地調整の作業音

管理組合への申請は、施工を妨げるためではなく、建物全体の価値と住環境を守るための重要な手続きです。適切な申請とコミュニケーションを行うことで、トラブルを回避し、スムーズな工事進行が可能となります。

お悩み別にみる、最適なマンションのリフォーム向け床の選び方

床材は「見た目」だけではなく、暮らしの体感そのものに影響します。

特に共働き・子育て世帯では、以下の3つの悩みが多く、ご家庭のライフスタイルが選ぶべき床材を決めると言っても過言ではありません。

① 子どもの足音や生活音が気になる場合
② 冬の床が冷たい・立ち仕事で足が疲れやすい場合
③ キッチン・洗面・玄関なども統一したい場合

① 子どもの足音や生活音が気になる場合

小さなお子様が動き回るリビングは、衝撃音や歩行音が最も発生しやすい空間です。
階下への音の伝わりは、意識していてもゼロにはできないため、「床材自体の遮音性能」で備えることが最も効果的です。

推奨床材遮音性能特徴子育て家庭との相性
遮音フローリング(ΔLL-4 / L-45程度)高い衝撃音を吸収し階下に伝えにくい最も現実的な選択肢
カーペットタイル吸音性が高い、転倒時に安全乳幼児期におすすめ
コルクタイル中〜高柔らかく温かい、軽い音に強い走り回る時期にフィット

防音性は「気持ちの問題」ではなく、「住み続ける安心感」に直結します。遮音フローリングは、足音や物が落ちた時の“コツン”という衝撃を、下階へ伝わりにくくする構造になっています。

特に幼児期は、体重が軽くても動きにメリハリがあるため、実際には大人以上に響きます。床材で改善できる部分を最初から整えておくことで、「静かにしなさい」と言わないで済む住環境が作れます

② 冬の床が冷たい・立ち仕事で足が疲れやすい場合

共働きのご家庭では、キッチン・リビング・洗面所での立ち時間が長くなります。
その際、床材の硬さと温度は、日々の疲れやすさに大きく影響します。

床材体感特徴メリット
無垢フローリング温かく柔らかい木そのものの心地よさ素足で過ごす習慣になりやすい
コルクタイル衝撃吸収性が高い足腰に優しいキッチンに最適
床暖房対応フローリング均一に暖かい冬の温度差が少ない冬の快適性が大きく向上

無垢材は、人工的に加工された複合フローリングと比べ、木が持つ自然の温度調整機能が生きています。冬は少し暖かく、夏はさらりとした感触になります。

これは“趣味性”ではなく「長く暮らす家での身体への負担」を減らす選択肢です。子育て世帯にとって、子どもの体温感覚や素足で過ごす感覚と相性が良いのも特徴です。

③ キッチン・洗面・玄関なども統一したい場合

リビングとキッチンの床材が異なると、空間が視覚的に分断され、広さを感じにくくなります。
同じ床材でつなげると、生活動線に一体感が生まれ、「広く見える家」になります。

床材仕上がり耐久性水への強さ施工性
フロアタイル(塩ビタイル)木目〜石目まで再現性高い高い強いリフォーム向き

フロアタイルは「クッションフロア」と混同されることがありますが、まったく別の素材です。フロアタイルは耐傷性・耐水性が高く、質感も本物に近いため、マンションリフォームで非常に選ばれる床材です。

特にリビング〜キッチン〜洗面を一貫して仕上げることで、“途切れない視線の流れ”が生まれ、空間に奥行きと上質さが宿ります。

マンションの床リフォームでは「張り替え」と「重ね張り」どちらを選ぶべき?

リフォームでは、既存の床をどう扱うかが大きな分岐点になります。

マンションの床リフォームは、大きく 「張り替え」「重ね張り」 の2つの方法があります。
どちらを選ぶべきかは、今の床の状態暮らし方で変わります。

① 「張り替え」がおすすめのケース

今の床をいったん撤去し、新しい床に入れ替える方法です。

✅床が沈む・きしむなど、下地から劣化している場合
✅断熱材を入れたい、床暖房を追加したいなど、性能改善をしたい場合
✅仕上げの高さを完全にリセットしたい場合

張り替えは、根本改善ができるという大きなメリットがあります。
一方で工期と費用は、重ね張りよりもやや高めです。

結論

床の状態に心配がある場合は「張り替え」が最適。

長く暮らす前提で考えるなら、もっとも後悔しない選択です。

② 「重ね張り」がおすすめのケース

既存の床の上に新しい床を重ねて施工する方法です。
床下に大きな問題がなく、より手軽に見た目と体感を改善したい場合に向いています。

きしみや沈みがない(下地がしっかりしている)
✅工期を短く、費用を抑えて仕上げたい
✅引っ越しや生活の中で、工事の負担を減らしたい

重ね張りは、半日〜1日で施工が完了することも多く、生活への影響が少ないのが魅力。
ただし、既存の床より少しだけ高さが上がるため、建具の調整が必要になることがあります。

結論

床の構造に問題がなく、手早く印象と性能を変えたいなら「重ね張り」が最適。

3LDK(約60㎡)での費用相場

床リフォームは「床材 × 工法 × 範囲」で費用が大きく変わります。

床材 / 工事種別㎡単価目安3LDK 60㎡換算特徴
遮音フローリング8,000〜18,000円50〜110万円子育て世帯のスタンダード
無垢フローリング15,000〜35,000円90〜200万円感触と温度感の心地よさ
フロアタイル6,000〜15,000円35〜90万円水まわりも統一可
重ね張り調整費〜40,000円/部屋状況により調整建具高さが要確認

最も悩まれるのは「無垢材は高いかどうか」という点ですが、長期的な住まいを考えると、体感的な満足度は無垢材が最も高い傾向があります。

一方、フロアタイルは費用と耐久性のバランスが良く、リビング周りの統一性を重視する人に選ばれています。「どちらが正解か」ではなく、暮らしの優先順位に応じて選ぶことが重要です。

マンションの床リフォームはDIYでも可能?

マンションの床リフォームはDIYでもできますか?

可能ではありますが、基本的にはおすすめしません。

とくにマンションの場合、遮音性能や床の高さ、建具との取り合いなど、見た目以上に専門的な要素が多く関わるためです。

では、なぜDIYが難しいのか?

1. 床材には「遮音等級(L値)」の規定がある

マンションでは、下階への生活音を抑えるための遮音基準が管理規約で定められていることがほとんどです。

DIY向けの床材は、遮音性能が足りないケースが多く、後から退去・原状回復を求められる可能性もあります。

管理規約で「L-45以上」「LL-40以上」などの規定を必ず確認する必要があります。

2. 「床の高さ」の調整が必要になる場合が多い

重ね張りをした場合、床が2〜10mmほど高くなります。
その結果、

  • 扉がひっかかる
  • 巾木(壁際の見切り)に隙間ができる
  • 既存の部屋との境で段差が生まれる

といった問題が起きやすく、プロはここを細かく調整して仕上げます。

DIYでは「仕上がりに違和感が残りやすい」ポイントです。

3. 下地の状態を判断できないと、後から不具合が出る

床が沈む・きしむ場合は、床材ではなく下地が原因です。
表面に新しい床を貼っても、一時的に隠れるだけで、数ヶ月後に不具合が再発します。

→ プロは 下地の補修・交換の可否を現地で判断しますが、DIYでは難しい作業になります。

では、どんな人ならDIYが向いている?

  • 既存床に傷やへこみが少ない
  • 床の高さに余裕がある
  • 遮音性能が求められない(=一戸建て・賃貸でなく持ち家)

という条件が揃っている場合に限り、フロアタイルを重ね張りする簡易DIYは選択肢になりえます。ただし、マンションの場合は 管理組合へ事前確認が必須です。

マンションの床リフォームは、DIYよりもプロ施工が安心
理由は 「遮音性能」「高さ調整」「下地の状態判断」 の3点が、仕上がりに直結するためです。

DIYでの節約分よりも、
長期的な快適性とトラブル回避の価値のほうが大きいと言えるでしょう。

🏛 補助金は使える?|マンションの床リフォームで活用しやすい制度と注意点

マンションの床リフォームでも、工事内容によっては補助金の対象になる場合があります。
ポイントは、床材そのものではなく、「断熱性能」または「省エネ性能」を向上させる工事かどうかです。

とくに、
・無垢フローリングへ変更
・断熱材を追加して床下の熱損失を抑える
・床暖房の省エネタイプへ更新する

といった工事は、補助対象として認められるケースがあります。

■ 補助金の対象になりやすい工事

工事内容対象になりやすい理由管理組合承認備考
無垢材+遮音材での張り替え木材は蓄熱性があり、室温が安定しやすい必要遮音性能(L値)の規定を満たす必要あり
断熱材を含む「床下改善」工事床の冷えを改善し、暖房効率が向上必要築年数が古いマンションで効果大
省エネ型床暖房への更新エネルギー消費量が減る必要設備交換に該当するため見積添付が望ましい

▶ 共通点:いずれも「室内の熱環境を改善する工事」

補助金は “省エネ” がキーワードです。

単なる「見た目変更」では対象にはなりません

📌 補助金制度の概要

現在、マンションの床リフォームで活用しやすい補助金は下記です。

既存住宅省エネ改修事業費補助金(神奈川県)

※ こちらは 窓・壁・床など「断熱性能を上げる工事」全般が対象になります。

■ 補助額の目安

リフォーム内容補助額のイメージ
無垢フローリング+遮音材5,000〜20,000円/部屋
床断熱材の追加10,000〜40,000円/部屋
省エネ床暖房への交換20,000〜60,000円前後

性能等級や材料仕様により補助額は変動します。

■ 補助金活用における注意点

補助金はとても有用ですが、申請にあたっては注意点があります。

まず大切なのは、工事前に申請する必要があるという点です。

補助金は「これから行う工事の支援」のための制度のため、
工事が始まってしまったあとで申請することはできません。

また、補助金申請には
図面・仕様書・製品性能証明書などの書類が必要になります。
これらは施主が個人で用意しようとすると手間がかかり、
結果的に期限内に提出できないケースもあります。

ポイント

さらに、

マンションの場合は、床の遮音性能が共用部の静粛性に直結するため、
管理組合との調整(=承認手続き)を補助金申請と並行して進めなければいけません。

そのため、床リフォームと補助金に精通した施工会社に依頼し、
管理組合とのやり取り・書類作成・制度適用の判断を
一体的にサポートしてもらうことが重要です。

補助金は
「知っているかどうか」

そして
「正しく申請できるかどうか」で、受けられる金額と得られる価値が大きく変わります。

🌿 あすなろ建築工房が補助金活用でできること

  • 補助金の対象になる材料・仕様を最初から選定
  • 必要な図面・証明書・仕様書の代理作成
  • 管理組合向け説明資料のセット提出
  • 工事後の申請書類提出のサポート

「補助金を使えるかどうかの診断」だけでも、まずは相談可能です。
まだ工事内容が固まっていない段階で問題ありません。

✅ まずは、「補助金が使えるかどうか」だけ確認しませんか?

📩 ご相談はこちらから

管理組合への相談文テンプレート(コピペOK)

○○マンション 管理組合 御中

お世話になっております。○号室の○○です。
居住スペースの床材交換にあたり、遮音性能基準 ΔLL-4 相当の床材を使用した
リフォームを計画しております。

工事内容:床材張替え(または重ね張り)
施工会社:◯◯(資料添付)
工期:◯月◯日〜◯月◯日予定
共用部の養生計画については管理会社の指示に従います。

お手数をおかけいたしますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。

○○号室 ○○
管理組合は「反対するため」に存在するのではなく、「建物の価値を守る役割」を持っています。最初に丁寧な文面で相談することで、工事が円滑に進みやすくなります。

マンションの床リフォームなら、あすなろ建築工房へ

あすなろ建築工房メンバー集合写真

マンションの床リフォームは、
「床材を選んで張り替えるだけ」ではありません。

  • 遮音性能
  • 管理規約との整合性
  • 暮らしの動線
  • 室内の温度感・質感
  • 将来のメンテナンス性

↑こうした要素が複雑に関係します。

あすなろ建築工房は 「設計事務所 × 工務店」 の一貫体制

一般的なリフォーム会社では、
「設計 → 施工 → 仕上げ → 管理組合説明」が分断されがちです。

しかし、あすなろ建築工房では、
最初のヒアリングから、設計、提案、管理組合調整、施工、アフターケアまで
同じチームが一貫して担当します。

一貫体制でできること

項目内容メリット
遮音性能に適合する床材選定管理規約で求められるL値に合わせて最適な床材を提案下階への生活音の不安をなくす
設計と施工が分断されない図面と現場対応を同じ担当が引き継ぐ仕上がりのズレや伝達ミスが起きにくい
管理組合との調整サポート申請資料・説明図の作成を代行住まい手が負担を感じない進行
暮らしの動線に即したプラン設計家族の過ごし方を整理して設計表面上だけでなく「使いやすさ」が続く住まいに
施工後のアフターケアも同じ窓口施工保証+住んでからの相談にも対応長く安心して使い続けられる

「計画段階の安心感」と「完成後の使いやすさ」を両立できるのが、私たちの強みです。

自然素材 × 日々の体感を大切にした設計

床は、毎日、素足が触れる場所です。
だからこそ、性能だけでなく “触れたときの心地よさ” を大切にしています。

素材選びの考え方

  • 無垢材フローリング
     足元が冷えにくく、手触りが柔らかく、子どもが寝転んでも安心。
     時間とともに味わいが増し、「住むほどに愛着が深まる床」になります。
  • フロアタイル(木目調・石目調)
     水まわりやキッチンには、お手入れがしやすく、美しさが長持ちする素材を。
     清潔感とメンテナンス性を両立できます。
  • 無垢材 × フロアタイルの「組み合わせ設計」
     家族の時間が集まるLDKを無垢材に、
     汚れやすい回遊動線をフロアタイルに、というバランスが取れたプランが可能です。

→ 素材の選択は、単なる「質感の好み」ではなく、暮らしの快適性に直結します。

家族が集まる場所を「心地よい中心」へ

床は、空間の“背景”ではなく
暮らしの印象そのものを決める要素 です。

・子どもが歩くときの足音
・朝起きたときの床の温度
・仕事帰りに素足で触れたときの安心感

それらが整うと、家は「休める場所」になります。

性能・素材・動線・心地よさ
そのすべてを、一つのチームで考え抜けること。
それが、あすなろ建築工房が選ばれる理由です。

📩 まずはご相談ください(初回相談無料)

まだ「床を替えるべきか迷っている」段階でも構いません。
お話を伺いながら、最適な選択肢を整理します。

お問い合わせはこちら

まとめ

マンションの床リフォームは、専有部分であるため基本的に可能です。
ただし、遮音基準と管理規約の確認が前提になります。
子育て世帯では、床材の選択によって 生活音のストレスと住み心地は大きく変わります。

  • 遮音性能を満たした床材を選ぶこと
  • 「張り替え」と「重ね張り」を空間ごとに使い分けること
  • 体感(温度・柔らかさ)とデザインの統一性を重視すること

この3点を押さえると、長く快適に過ごせる住まいが実現できます。

📩 無料相談はこちら


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