マンションの防犯対策|女性一人や子育て家族が入居前に知るべき事
マンションへの住み替えや購入を検討するとき、「駅からの距離」「間取り」「価格」と同じくらい気になるのが防犯面ではないでしょうか。
特に小さなお子さまがいるご家庭や、共働きで日中不在になる時間が長いご家庭にとっては、「本当に安心して暮らせるのか」は最重要テーマです。
ここでは、マンションに初めて住む方に向けて、実際の統計データや現場目線のチェックポイントをもとに、入居前に知っておくべきマンションの防犯対策を具体的に解説します。
マンションに住むのは初めてだけど、防犯対策は十分できてる?

「オートロックって付いていれば安心なんですよね?」
「内見のとき、防犯ってどこを見ればいいんですか?」
「子どもがいるので、できれば戸建てより安全な住まいがいいのですが…」
こうしたご相談は、実際に私たちの打ち合わせでもよくお聞きします。
結論から申し上げると、
ただし、正しい視点で物件を選べば、防犯性を高めることは十分可能です。
マンションの防犯対策を考える3ステップ
ここでは、
という3つのステップで紹介していきます。
1.マンションは本当に安全?実際にどのような犯罪が起きているのか
まずは、事実から確認してみましょう。
警察庁の「住まいる防犯110番」や犯罪統計資料によると、令和4年の侵入窃盗の認知件数は約4万件弱。そのうち、住宅対象の侵入窃盗では、一戸建てが最も多く、次いで共同住宅(3階建て以下)、その次に共同住宅(4階建て以上)が続きます。

引用元:データで見る侵入犯罪の脅威
簡単に整理すると次のようになります。
【住宅対象侵入窃盗の割合(警察庁統計より)】
| 住宅種別 | 割合の傾向 |
|---|---|
| 一戸建て | 最も多い |
| 共同住宅(3階以下) | 次に多い |
| 共同住宅(4階以上) | 比較的少ない |
このデータから分かるのは、戸建てよりマンションの方が侵入窃盗の件数は少ない傾向にあるということです。ただし、「ゼロではない」という点が重要です。

引用元:データで見る侵入犯罪の脅威
日本は海外に比べて侵入窃盗の発生率は低いとされていますが、それでも都市部では毎年一定数の被害が発生しています。たとえば、当社のある横浜市内でも、集合住宅での空き巣や忍び込みのニュースは珍しくありません。
2.オートロックの盲点は何か
「オートロック付きだから安心」という考えは、実は危ういです。
実際の侵入手口として多いのが、
・住人の後ろについて入る「共連れ」
・宅配業者を装う
・インターホンで無作為に解錠させる
といった方法です。
つまり、オートロックは“第一関門”であって“最終防衛ライン”ではないということです。エントランスの構造や管理体制が伴って初めて、安心につながります。
3.内見時に何を確認すればよいのか
では、実際に内見のとき、防犯対策を考えるのであれば何を見ればよいのでしょうか。
営業担当の説明だけでなく、自分の目で確認することが大切です。
✔玄関前が死角になっていないか
玄関前の共用廊下が曲がり角の奥にあり、人通りが少なく、外から見えにくい場所になっていないかを確認してください。
合格ライン|危険ラインの目安
💡合格ラインは、エレベーターや階段からある程度見通せる位置にあること。
💀危険サインは、奥まった位置で、昼間でも暗く感じる場合です。
✔ワンドアツーロックになっているか
玄関ドアに鍵が2つ付いているかどうかは、基本的な防犯性能の指標です。
1つしかない場合は、防犯性がやや低いと考えられます。
また、ドアスコープ(のぞき穴)にカバーが付いているかも確認しましょう。外から覗かれたり、ドアスコープを外しての鍵の解錠事例も報告されています。
✔ベランダが隣室から侵入しやすくないか
バルコニーの仕切り板が簡単に跨げる高さになっていないか、室外機が足場になっていないかを見ます。
合格ライン|危険ラインの目安
💡合格ラインは、隣室との境が簡単には越えられない配置になっていること。
💀危険サインは、室外機や収納ボックスが塀の近くに置かれ、足場になりそうな場合です。
✔窓の鍵が1箇所だけになっていないか
窓の施錠が1箇所だけの場合、こじ開けられやすくなります。
補助的なロックがあるかを確認してください。
マンションの内見時に営業が言わない防犯につながる3つの盲点
内見時に、特に見落としやすいポイントがあります。
- ゴミ置き場の位置が建物裏で死角になっていないか
- 非常階段が外部から簡単に上がれる構造になっていないか
- 夜間の照明が十分か(昼間では分からない)
これらは、図面や昼間の内見だけでは判断しにくい部分です。可能であれば、夕方以降にも周囲を歩いてみることをおすすめします。
見落とされがちなベランダ・窓の防犯事情
マンションの侵入口として多いのが、実は「窓」です。

警察庁の統計でも、侵入窃盗の手口として「ガラス破り」は一定数を占めています。
1階だけでなく、2階・3階でもベランダ伝いに侵入する事例があります。
そのため、
チェックポイント
- 窓ガラスが1枚だけで薄くないか
- 鍵の周辺に補強があるか
- ベランダに足場になる物がないか
- 雨樋の竪樋を伝って、上下階に移動できる構造になっていないか
といった基本を押さえることで、防犯性の目安は判断できます。
マンションは戸建てより侵入窃盗の件数が少ない傾向にありますが、オートロックだけで安心するのは危険です。防犯性は「設備」だけでなく、「構造」と「管理体制」によって決まります。
内見時には、玄関・ベランダ・窓の3点を中心に、自分の目で確認することが大切です。
賃貸マンションでも防犯対策って強化できる?分譲の方が安全?

「分譲マンションの方がやっぱり安心ですか?」
「賃貸だと勝手に防犯対策はできませんよね?」
「自分たちでできることってあるのでしょうか?」
この疑問はとても現実的です。
ここでは、賃貸マンションと分譲マンションの違い、さらに戸建てとの比較も含めて、防犯面について解説します。
賃貸マンションと分譲マンションの防犯対策の違い
まずは全体像を見てみましょう。
| 項目 | 分譲マンション | 賃貸マンション |
|---|---|---|
| 管理体制 | 管理組合が主体 | 管理会社・オーナー主体 |
| 防犯カメラ | 設置率高め | 物件により差が大きい |
| セキュリティ連携 | 24時間対応ありの場合も | 少ない傾向 |
国土交通省の調査でも、分譲マンションでは防犯カメラ設置率が高い傾向にあります。
管理費や修繕積立金から防犯設備の更新が行われるため、長期的な視点で整備されていることが多いのです。
一方、賃貸でも、
- 窓用の補助ロック
- 玄関の追加ロック(工事不要タイプ)
- センサーライト
など、原状回復可能な対策は十分に可能です。費用も1万円前後から始められます。
マンション・戸建て・賃貸の防犯上の違い
| 住まい | 防犯上の弱点 | 対策の自由度 |
|---|---|---|
| 戸建て | 四方から侵入可能 | 高い |
| 分譲マンション | 共用部は管理任せ | 専有部のみ |
| 賃貸マンション | 設備更新が難しい | 限定的 |
戸建ては自由度が高い反面、外部からの侵入経路も多くなります。
マンションは侵入経路が限定される一方で、共用部の改善は個人ではできません。
つまり、どの住まいにも一長一短があり、暮らし方によって最適解は変わるのです。
マンションの防犯対策は個人でどこまでできる?
「共用部分は変えられないけど、自分でできることはある?」
「大きな工事はできないけれど、少しでも安心したい」
「子どもがいるから、できる対策は全部やっておきたい」
こうした声はとても多いです。実は、マンションの防犯対策は管理体制だけに頼るものではありません。個人でできる対策は想像以上に多く、しかも効果的です。ここでは、予算別に個人でできる現実的な対策をご紹介します。
【0円でできること】今すぐ始められる防犯習慣
お金をかけなくても、防犯性は高められます。むしろ、生活習慣の見直しは非常に重要です。
・在宅を装う照明の活用
夜間に短時間だけ部屋の一部を点灯させるだけでも、空き巣にとっては「在宅の可能性あり」と映ります。タイマー付きの照明でなくても、家族の帰宅時間をずらして明かりを付けるなど工夫できます。
・長期不在をSNSに投稿しない
「今から家族旅行です!」というリアルタイム投稿は、空き巣に留守を知らせるようなものです。投稿は帰宅後にするだけでリスクは下げられます。
・宅配ボックスを活用する
宅配の不在表がポストに残っていたり、玄関前に置き配があると留守であることが分かってしまいます。宅配ボックスの活用や、再配達を早めに依頼することも大切です。
・玄関まわりを整理する
ベビーカーや三輪車、収納ボックスが足場になっていないか確認します。ベランダと同様、足場を減らすことが基本です。
こうした行動は費用ゼロですが、犯罪者が最も嫌う「面倒な家」に近づける効果があります。
【1万円前後】工事不要でできる物理的対策
比較的手軽にできるのが、補助的なロックの追加です。
・窓用補助ロック
ホームセンターや防犯用品店で1,000円~3,000円程度で購入できます。窓の開閉部分に追加するだけで、侵入までの時間を延ばす効果があります。
・ドア用補助錠(工事不要タイプ)
1万円前後で設置できるものもあります。穴あけ不要タイプなら賃貸でも対応可能です。
・開閉センサー
窓や玄関が開くと音が鳴るタイプも数千円で購入可能です。音が鳴るだけでも抑止力になります。
・スマートロック
近年はスマートフォンで施錠・解錠が出来るスマートロックが1万円以下で購入できます。玄関の施錠状態をリモートで確認することが出来ます。両面テープでの設置も可能なので、賃貸でも設置可能です。
ここで重要なのは、「侵入を完全に防ぐ」ことよりも「侵入に時間がかかる家」にすることです。空き巣は侵入に5分以上かかると約7割が諦めるというデータもあります(警察庁防犯資料より)。
【5万円前後】安心感を高める設備投資
より安心を求めるなら、外部サービスの活用も選択肢になります。
・ホームセキュリティ
初期費用+月額費用がかかりますが、警備会社との連携が可能です。共働き世帯で日中不在が多い場合には検討する価値があります。
・防犯カメラ(室内設置型)
室内用であれば工事不要タイプもあります。価格は1万円~5万円程度。スマートフォンで確認できる機種もあります。設置後に「防犯カメラ作動中」の表示を玄関前やベランダ先に表示することで抑止になります。
ただし、機器を増やす前に「侵入されにくい構造かどうか」を優先して確認することが大切です。設備だけに頼るのではなく、構造と併せて考える視点が重要です。
個人対策で忘れがちなポイント
見落とされがちですが、次の点も大切です。
- 郵便ポストに名前をフルネームで出さない
- インターホンの録画機能を活用する
- 子どもに「親がいない」と言わせないよう教育する
防犯は設備だけでなく、「情報管理」も含まれます。
マンションの防犯は管理体制だけで決まるものではありません。個人でできる対策は意外に多く、しかも即効性があります。
0円でできる習慣改善から、1万円前後の補助ロック、さらにホームセキュリティまで、段階的に強化できます。
大切なのは、「何もしていない家」にならないことです。小さな積み重ねが、大きな抑止力になります。
子どもがいるけどマンションの防犯対策は大丈夫?何階が安全?

「やっぱりマンションでも1階は危ないですか?」
「高層階なら安心ですよね?」
「角部屋って実は危険なんですか?」
子育て世帯にとって、マンション選びで悩みやすいのが「どの階に住むか」という問題です。
防犯面だけでなく、子どもの安全、共働きによる日中不在、夜間の帰宅時間なども重なり、「失敗したくない」という気持ちが強くなります。
ここでは、階数ごとのリスクを紹介しつつ、数字だけでは分からない“暮らし目線の防犯”を解説します。
マンションの1階と2階以上の防犯リスクの違い
まずは、警察庁の犯罪統計などでも示されている階数別の傾向を見てみましょう。
| 階数 | リスク傾向 |
|---|---|
| 1階 | 窓・ベランダから侵入されやすい |
| 2~3階 | 足場があれば侵入例あり |
| 4階以上 | 件数は少ないがゼロではない |
警察庁のデータでは、住居対象侵入窃盗の侵入場所として1階の割合が最も高い傾向があります。理由は単純で、地面や外部から直接アクセスしやすいからです。

特に、窓のガラスを破って侵入するケースが多いです。そのため、戸建てでは警戒が必要です。ただし、「高層階なら安全」と言い切れない点も重要です。
実際には、
・ベランダ伝い
・室外機を足場にする
・隣戸からの移動
といった方法で、2階・3階、場合によってはそれ以上の階でも侵入事例が報告されています。
つまり、「何階なら絶対安全」という答えは存在しません。
階数はリスクを下げる要素の1つではありますが、万能ではないのです。

ただ、階層が高くなるほど窓からの侵入が少なくなるという傾向はあるため、マンションに住むというのは一定の防犯効果はあるのかもしれません。
子育て世帯が特に注意したい「時間帯」の視点
階数以上に見落とされがちなのが、「生活時間帯」です。
子育て世帯の場合
・朝は登園・出勤で慌ただしい
・夕方~夜にかけて帰宅が重なる
・共働きで日中はほぼ不在
という生活リズムになりやすく、空き時間が一定になりがちです。
この「生活パターンが読みやすい家」は、防犯上は注意が必要です。
階数だけでなく、
といった状況が重なると、侵入のリスクは高まります。
角部屋・エレベーター位置という盲点
角部屋は「窓が多くて明るい」「隣戸が少ない」という理由で人気がありますが、防犯面では注意点もあります。
角部屋は、
といった特徴があります。特に夜間、共用廊下が暗い場合は要注意です。
また、エレベーターから極端に遠い住戸も、人目が届きにくくなります。
一方で、内廊下型マンションは外部からの視線や侵入を防ぎやすく、防犯面で有利になるケースもあります。
「角部屋=危険」「中部屋=安全」と単純に判断するのではなく、人の動線と視線がどう流れるかを意識することが大切です。
詳しくは、
「マンション一階はデメリットが多いって本当?逆に人気?」もあわせてご覧ください。
結局子どもや女性にとってマンションは本当に安全?
共働きで日中不在が多いご家庭では、
こうした要素が、実際の安心感につながります。
ただし、安全を考えるうえで忘れてはいけないのが、防犯以外の性能です。
耐震性能が十分でないマンションでは、大地震時に住み続けられないリスクがあります。
断熱性能が十分でないマンションでは、冷暖房効率が悪く、長期的に光熱費がかさむ可能性があります。
子どもを守る「安全な住まい」とは、空き巣対策だけでなく、災害時にも家族で暮らし続けられる性能を備えた住まいです。
マンションの安全性は、階数だけで決まるものではありません。
立地、建物の構造、共用部の管理状況、そして家族の生活リズムまで含めて、総合的に判断することが重要です。
「何階なら安心か?」ではなく、
「この住まいは、わが家の暮らし方に合っているか?」
という視点で考えることが、後悔しないマンション選びにつながります。
まとめ|防犯対策は“住んでから”ではなく“選ぶ前”が重要
マンションの防犯対策は、後付けのグッズだけで決まるものではありません。
内見時のチェック、管理体制の確認、そして暮らし方の工夫が重なって、はじめて安心が生まれます。
私たちあすなろ建築工房では、設計事務所と工務店の両面から、構造・性能・暮らしやすさを総合的に考えた住まいづくりをご提案しています。防犯性だけでなく、耐震等級3相当・断熱等級6相当を基準とした「長く住み続けられる家」を大切にしています。
マンション購入やリノベーションをご検討の方は、ぜひ一度ご相談ください。

安心して暮らせる住まいを、一緒に考えていきましょう。
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