【購入前必見】地盤調査はいつ・いくら?
家づくりを始めるとき、まず最初に悩むのが「土地選び」。その中でも見落とされがちなのが、「地盤の安全性」です。
「地盤調査って契約前にできるの?」「調査費用は高いの?」「そもそも必要なの?」——本コラムでは、購入前のこんな疑問にお答えします。
なぜ購入前に地盤調査が必要?費用〇万円の調査で守れる「安心」とは

注文住宅を建てる際、多くの方が気にするのは間取りや外観デザイン、断熱性や省エネ性能など、目に見える部分です。しかし、住宅の安心・安全を支える本当の基礎は「地盤」にあります。
神奈川県のように地形や地質が多様な地域では、地盤の強さによって家の構造や工事内容が大きく変わることも珍しくありません。にもかかわらず、「地盤調査にお金をかけるのはもったいない」と判断し、調査を省略する方もいます。
しかし、それは大きなリスクにつながります。
例えば、地盤が軟弱な土地にそのまま家を建てた場合、建物の傾きや不同沈下などの被害が発生する恐れがあります。こうしたトラブルは、後から補修しようとすれば数百万円〜数千万円規模の費用がかかるケースもあります。
対して、地盤調査の費用は平均して3〜10万円程度。万が一、地盤補強が必要な土地だった場合でも、早い段階で把握できれば設計変更や予算調整も可能です。
特に近年は、地震や台風による被害も増加傾向にあり、「地盤リスクをどう回避するか」が家づくりの重要なテーマとなっています。見えない土地の個性を「可視化」し、安心な暮らしを守る第一歩が、地盤調査なのです。
地盤調査の費用相場と内訳:3万円〜10万円の理由とは

地盤調査にかかる費用は、一律ではありません。3万円〜10万円程度が一般的な相場ですが、その金額に幅があるのには明確な理由があります。
注文住宅を建てる際に行われる地盤調査には、複数の方法があります。土地の規模や用途、建物の構造によって適切な調査方法を選ぶ必要があります。それぞれの特徴を、以下の表で比較してみましょう。
調査方法 | 調査対象 | 特徴 | 向いているケース |
---|---|---|---|
スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験) | 軟弱地盤かどうかの判定 | 簡便・比較的安価・戸建住宅向け | 木造2階建て程度の住宅、狭小地など |
ボーリング標準貫入試験(N値試験) | 地層構成や支持層の深さを詳細に確認 | 精度が高く深層地盤まで把握可能 | 3階建て以上、大規模住宅、擁壁が必要な土地 |
表面波探査法 | 地表から非破壊で調査 | 振動波で地盤の硬さを測定。簡易かつ比較的高精度 | 地中障害物が懸念される、既存住宅地など |
簡易貫入試験(ラムサウンディング試験など) | 軟弱地盤の判定+深度確認 | SWSより深度測定が可能だが、ボーリングより簡易 | 土地の傾斜や段差がある場合など |
それぞれの調査方法の選び方と注意点
・スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)
最もポピュラーな方法で、コストパフォーマンスに優れています。ロッドにおもりをつけ、回転させながら地中に貫入させて地盤の硬さを測定する方法です。ただし、深度が浅く、支持層の深さまで正確に測れない場合もあるため、複雑な地形では不向きなこともあります。
・ボーリング標準貫入試験
「N値」と呼ばれる指標を用いて、地層の構成や支持層の深さ、地下水位まで正確に把握できるため、最も信頼性が高い調査法といえます。その分、費用が高額になる傾向があり、建物の規模や予算とのバランスを考慮することが大切です。
・表面波探査法
非破壊かつ短時間で完了できる点が特徴です。振動を用いて地盤の弾性波速度から地盤の硬さを推定するもので、造成地や既存建物がある場合にも対応しやすい方法です。ただし、地下水位の把握や深い支持層の確認はできないため、用途が限られるケースもあります。
・簡易貫入試験
SWS試験よりやや高精度な調査が可能で、地中深くまで確認したいがボーリングまでは不要というケースに向いています。土地の形状や構造的な条件に応じて、「中間的な選択肢」として非常に有効です。
購入前にどの地盤調査を選べばいい?用途別の目安と注意点
調査方法の選定は、以下のような要因に応じて柔軟に決めることが重要です。
- 建物の構造(2階建て or 3階建て以上)
- 土地の広さ・地形・高低差
- 近隣の地盤情報
- 造成地・埋立地など地歴的背景
- 予算と納期
当社あすなろ建築工房では、設計段階から地盤の特性を読み取り、その土地に最適な調査方法をご提案しています。
土地の状態によって費用が変わる
調査するポイントの数や、敷地の広さ・形状によっても費用は変動します。また、設計段階で調査を行うか、着工直前に行うかによっても工事スケジュールに影響を与えるため、設計段階での実施がおすすめです。
調査費用は一見すると「もったいない出費」に思えるかもしれませんが、その結果が将来的な補強費用やトラブル回避に大きく影響します。
Q&A:購入前に地盤調査はできる?
土地購入を検討している段階で、地盤に不安を感じている方からよくいただく質問にお答えします。
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購入前でも地盤調査は可能ですか?
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はい、可能です。ただし、土地の所有者の「承諾」が必要になります。仮押さえや買付申込書を提出した上で、契約前に調査を実施できるよう不動産会社を通じて交渉することが一般的です。
土地選びにおける調査や判断でお悩みの方は、こちらの記事も参考になります。
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調査結果が悪ければ、土地購入をキャンセルできますか?
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契約前であればキャンセル可能ですが、契約後は違約金が発生する可能性があります。契約前の調査実施を交渉できるかどうかがカギです。
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調査後に追加費用がかかる場合、どうすれば?
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軟弱地盤と判定された場合、地盤改良工事(数十万円〜100万円超)が必要になるケースもあります。その際は、家全体の構造計画や予算配分を調整することで対処可能です。
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不動産会社が「大丈夫」と言っていたけど本当?
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「近隣で家が建っているから大丈夫」というのは根拠に乏しい判断です。敷地ごとに地盤の状態は異なります。必ず専門的な調査を行いましょう。
ハザードマップ・地歴調査もセットで確認を

地盤調査と合わせてぜひ実施していただきたいのが、ハザードマップの確認と地歴調査です。どちらも無料で確認可能な情報ですが、リスク回避の観点から非常に重要です。
ハザードマップで確認できること
国土交通省や自治体が公表しているハザードマップでは、以下のリスクが確認できます。
- 河川氾濫や内水氾濫の危険エリア
- 土砂災害警戒区域
- 津波や高潮の想定範囲
神奈川県内でも、横浜市の一部エリアや川沿い地域などは、洪水リスクが高いとされる場所もあります。
地歴調査とは?
その土地が過去に工場・埋立地・農薬保管庫だったなどの履歴がないかを調査することです。古地図や航空写真、公的資料などを使って調査が行われ、土壌汚染や埋設物のリスクを回避する判断材料になります。
それぞれの費用感と所要時間
- ハザードマップ:無料(自治体の公開情報)
- 地歴調査:自分で行えば無料、専門業者に依頼すると3万〜10万円程度
Q&A:ハザードマップや地歴調査は誰がやるの?購入前にできる?
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購入前にハザードマップは確認できますか?
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はい。インターネットで無料公開されており、誰でも簡単に確認可能です。購入予定地の住所を入力するだけで、各種災害リスクを可視化できます。
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地歴調査は素人でもできますか?
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ある程度は可能ですが、正確な情報を得るには時間と手間がかかります。専門業者に依頼することで、埋設物や汚染リスクの可能性を効率よく把握できます。
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地盤調査・ハザード・地歴、全部やる必要あるの?
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必須ではありませんが、組み合わせて行うことで「見えないリスク」を網羅的に把握できます。特に建物の構造や耐震性に関わる項目なので、資産価値にも影響を与えるポイントです。
地盤調査はどこに頼む?購入前に知っておきたい依頼先の違い

地盤調査はさまざまな業者が対応しています。それぞれに特徴と得意分野があるため、依頼先の違いを正しく理解することが大切です。
地盤調査を依頼できる主な業者
- 地盤調査専門会社:技術力は高いが、調査結果を活かす提案は苦手
- 不動産会社:調査自体は外注のケースが多く、中立性に疑問が残る
- 設計事務所:設計と連動した提案はできるが、施工対応は別業者になる
- 工務店:調査結果をもとに設計・施工まで一括して提案可能
各業者の比較
項目 | 調査専門会社 | 不動産会社 | 設計事務所 | 工務店(当社含む) |
---|---|---|---|---|
調査コスト | △ 高め | ○ 普通 | ○ 普通 | ◎ 一括対応で割安 |
中立性 | ◎ | △ | ◎ | ◎ |
技術的知見 | ○ | △ | ◎ | ◎ |
結果の活用提案力 | △ | △ | ○ | ◎ |
なぜ工務店に依頼するのが安心なのか?
私たちあすなろ建築工房のような設計+施工一体型の工務店では、地盤調査の結果をもとに設計の見直しや構造補強の要否まで一貫して対応できます。仮に軟弱地盤であっても、間取りや基礎構造の見直し、補強工法の検討まで「安心して住める家づくり」へと昇華できるのです。

土地選びの段階から工務店に相談するメリットはこちらで詳しく解説しています。
まとめ:土地選びで失敗しないために、まず「地盤」を知ろう
家づくりは、設計や間取りを考える前に「土地の安全性」を見極めることが欠かせません。その判断材料となるのが、地盤調査・ハザードマップ・地歴調査です。
- 地盤調査の費用は3〜10万円前後。決して高額ではなく、安心のための投資
- ハザードマップや地歴調査も無料または低コストで実施可能
- 安易な判断で「リスクのある土地」を選ばないことが、後悔しない家づくりの第一歩
また、これらの情報をどう読み解き、どう設計に活かすかは、一緒に家づくりを進めるパートナーの力量に大きく左右されます。
地盤調査を通じて得た「見えない情報」を、設計と技術の両面から活かせる工務店と一緒に進めていくことが、暮らしの安心を守る近道です。
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