狭小地に家を建てる際のデメリットとは?後悔しないために知っておくべき注意点
都市部において土地の価格が高騰する中、「狭小地」に家を建てる選択肢が注目を集めています。価格を抑えられるメリットがある一方で、見落としやすいデメリットが存在することも確かです。
今回は、横浜を拠点とする私たちが、実際の家づくりの場で感じてきた課題とその改善策について解説いたします。
「狭小地での家づくり、本当に自分たちに合っているのか?」を判断するための材料として、ぜひお役立てください。
1.設計の自由度が限られ、建築コストが高くなるケースも

「土地が安いなら、トータルでお得なのでは?」とお考えになる方も多いかと思いますが、狭小地では法的な制約と構造上の工夫が必要となるため、建築コストが想像以上に膨らむことがあります。
建ぺい率や高さ制限により、設計に制限がかかる
狭小地では土地面積が限られるうえに、建ぺい率や容積率、高さ制限などの規制を受けるため、建てられる面積そのものが少なくなってしまうケースがあります。
<建ぺい率とは> 敷地全体に対して「どのくらいの面積の建物を建ててよいか」を示す割合です。たとえば60%であれば、100㎡の土地なら最大60㎡まで建物を建てられます。 <容積率は> 建物の延べ床面積の合計が、敷地面積に対してどれだけまで認められるかを示す数字です。容積率200%なら、2階建てで敷地面積と同じ床面積が上下に取れるイメージです。 <建築費単価とは> 1坪あたりにかかる建築費用の目安を指します。狭小地では階数を増やす必要がある、特殊な形状への対応が必要になるなどの理由で、設計や施工の難易度が高くなりやすく、その分コストが上がる傾向があります。 |
こうした制約が積み重なることで、「狭小地=コスパが良い」とは一概に言い切れないケースもあるため、あらかじめ予算に余裕をもたせた計画が必要です。
建てられる床面積が限られるうえ、基礎や構造材に工夫が必要となることで、結果として坪単価が高くなる傾向にあります。
設計の自由度が欲しい方には不向きなことも
「二世帯で住みたい」「趣味用の部屋を確保したい」といった希望がある方にとっては、面積や構造の制限により間取りの自由度が下がることで、理想の住まい像が実現しにくくなることがあります。
将来的なバリアフリー対応や、室内階段の増加による生活負担の不安も考慮が必要です。
こういった方には、駅距離やエリアを少し広げることでゆとりある土地を探す方法もご提案可能です。ご相談時には、ご希望のライフスタイルに合う土地選びからサポートいたします。
2.隣地との距離が近く、プライバシーの確保に工夫が必要

狭小地では、隣家との距離がわずか数十センチというケースも珍しくありません。その結果、暮らしの中でのプライバシー確保に悩まれる方も多いです。
視線や生活音が気になる方には注意が必要
例えば、洗濯物を干す際に隣家の窓と目線が合ってしまったり、子どもの声やペットの鳴き声が周囲に響いてしまう…といった日常のストレス要因が発生しやすくなります。
特に、小さなお子様がいるご家庭や、在宅勤務をされる方にとっては、静かで落ち着ける空間をどう確保するかが大きな課題です。
プライバシーを守るための設計の工夫とは?
私たちがあすなろ建築工房が実際に設計で工夫しているのは、視線を遮りながらも光を取り込む「ハイサイドライト(高窓)」の採用や、吸音性の高い壁材や内窓の設置などです。
また、庭の代替として2階のバルコニーなどのプランをご提案することで、外からの視線を気にせず自然を楽しむ空間づくりも可能になります。
実例紹介:Mavi Bache(青い庭)

3面道路の敷地面積23坪の狭小地に、延床面積23坪の敷地条件を最大限に活かした住宅です。
3方向道路で狭小地という厳しい敷地条件ではありますが、敷地のポテンシャルを最大限に活かし、コンパクトながらもゆったりと過ごせ、広がりを感じられる家族空間を確保しました。
3.採光や風通しの確保が難しい

「狭小地だと、部屋が暗くなりそう…」というお声をよくいただきます。たしかに、隣家の影や建物の密集度によって、日差しが入りにくい立地もあります。
しかし、設計次第で明るく開放的な空間をつくることは十分に可能です。
採光と通風の工夫で開放感ある住まいに
たとえば、私たちがよく行う工夫としては、
- 吹き抜け構造による採光の確保
- 2階リビング設計により、光を確実に取り込むプラン提案
- 天窓(トップライト)による自然光の導入
などがあります。
実例紹介:TETRIS HOUSE

北側斜線・崖地・狭小・変形地と、さまざまな制限の中でも、光と風を活かした快適な空間設計を実現した代表例です。
狭小地ならではの魅力もあわせて確認を
ここまで、主にデメリットを中心にお伝えしてきましたが、狭小地には「価格が抑えられる」「駅近・好立地に住める」などのメリットも確かに存在します。
その点については、以下の記事で詳しくご紹介しておりますので、ぜひ合わせてご覧ください。
まとめ|狭小地を選ぶなら、後悔しない設計パートナーとともに
狭小地は、工夫次第で魅力的な住まいを実現できる反面、設計・コスト・プライバシー・採光などにおける独自の課題も多く存在します。
あすなろ建築工房では、そうした課題を一緒に紐解きながら、お施主様の希望に寄り添った住まいづくりをご提案しています。
土地選びに不安がある方、限られた条件の中で理想の住まいを実現したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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