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マンションの修繕積立金の相場は?どう解釈して対策すればいい?

マンションを検討すると必ず出てくる「修繕積立金」。

今の金額は把握できても、40年後にいくらまで上がるのか、築30年・築50年で何が起きるのかは、なかなか見えません。

「相場だから大丈夫」と言われても、本当に妥当なのか、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、国の一次情報と実務視点をもとに、修繕積立金の相場・将来の上がり方・高い/安いの正しい判断軸まで解説します。

今は安いけど…マンションの修繕積立金は「どこまで上がるか」が一番こわい方へ

「今は安いけど、40年後に4万円とか言われたら払えない…」
「築30年・築50年になったらどうなるの?“どこまで上がるのか”が分からないのが一番不安」

この不安は、とても自然です。修繕積立金は“築年数が進むほど増えやすい”傾向があるからです。
一方で、増えること自体が悪いわけではなく、増える理由が説明できるかで「安心/危険」が分かれます。
ここでは、まず築年数別の相場感を押さえ、その後に「跳ね上がる仕組み」と「金額だけで判断すると危険」な理由を整理します。

マンションの修繕積立金は「築年数」でどう上がる?築30年・40年後・築50年の相場イメージ

築年数が進むと、外壁や屋上防水だけでなく、給排水管や設備など“高額になりやすい工事”が増えます。

そのため、修繕積立金は「築浅<築古」になりやすく、築30年を超えるあたりから差が出やすくなります。ただし同じ築年数でも、戸数や共用設備、過去の修繕の進め方で金額は変わります。

次の表は「買う前の一次判断」に使うための目安として活用してください。

築年数別:修繕積立金の相場目安(1戸あたり/月)

築年数の目安月額(修繕積立金)よくある状態
築10年前後0.8万円〜1.3万円初期設定が低めになりがち
築30年前後1.8万円〜3.0万円大規模修繕2回目前後
築40年前後2.5万円〜4.0万円設備更新の比率が増える
築50年前後3.0万円〜4.5万円計画と資金力で差が大きい

「相場=正解」を示すものではなく、「外れ値」を見つけるためのものさしです。

たとえば築30年で1.0万円前後だと、“安い理由”の確認が必要になりますし、築10年で2.5万円でも“高い理由”が説明できれば健全な場合があります。

安く済みやすいのは、戸数が多く負担が分散できる・共用設備がシンプル・過去の修繕が計画通り、などのマンションです。

逆に、戸数が少ない・機械式駐車場など維持費がかかる設備が多い・修繕の先送りが続いたマンションは、将来の上げ幅が大きくなりがちです。

住戸数が多いマンションは一戸当たりの修繕費の負担が小さくなる傾向があります。住戸数が少ないマンションはスケールメリットが得られなくなるので、どうしても一戸当たりの修繕費負担は高くなります。小規模なマンションなのに修繕積立金が少ない場合は、その理由を確認しておくとよいでしょう。

また「エレベーター台数が多い」「機械式駐車場がある」場合にも修繕積立金は高くなります。

なぜ40年後に跳ね上がる?「マンション修繕積立金はどこまで上がる」を決める3要因

「40年後に4万円」という話が出るのは、脅しではなく“起こり得る構造”があるからです。
ただし、すべてのマンションが同じ上がり方をするわけではありません。

ポイント

ポイントは「どの要因で不足が生まれ、どのタイミングで増額が起きるのか」を把握することです。

なお、修繕積立金の基本的な考え方(制度の全体像)は、別記事「マンション修繕積立金とは?将来のために知っておくべき本当の話」で詳しく触れる想定です。

将来の上がり幅を左右する3要因(買う前に資料で確認できます)

  • 要因1当初の設定が低すぎる(“見せ金額”になっている)
  • 要因2段階増額方式で、将来の増額が前提になっている
  • 要因3長期修繕計画が古い(工事費上昇が織り込めていない)

この3つは「感覚」ではなく、資料に出ます。特に段階増額方式は、増額時に合意形成ができず不足につながるケースがあるため注意が必要だと、国交省のガイドライン改訂でも明確に言及されています。

参考元:マンションの修繕積立金に関するガイドライン

また、長期修繕計画は5年ごとを目安に見直すマンションが多い一方で、計画が実態とズレたままだと不足が膨らみます。

近年は、円安などの影響により建設資材が高騰しているほか、建設労働者の減少も伴って労働賃金も高くなっています。結果として、修繕費用も年々高くなっています。定期的に修繕計画を見直していないマンション管理組合の場合には「修繕費の予算が10年前の工事費用のまま」なんてことにもなりかねません。

参考元:令和5年度マンション総合調査結果


“上がるかどうか”より、上がる理由が説明されているかを押さえておくと、将来不安はかなり減ります。

修繕積立金が「4万円でも危険じゃない」マンション/「2万円でも危険」なマンションの違い

修繕積立金は、金額だけを見ると「高い=損」と感じやすい項目です。
でも実際は、計画的に積み立てて将来の一時金を避けるために、あえて高めに設定しているケースもあります。

逆に、相場より安くても、先送りのツケが将来の増額や一時金になって返ってくることがあります。
ここでは「金額」ではなく「中身」で見分けるための早見表を置きます。

金額の高低より“中身”で判断する

見る視点4万円でも比較的安心2万円でも注意
計画更新され説明できる古い/曖昧
実績周期通りに実施先送りが多い
資金一時金に頼らない一時金が出やすい
透明性議事録・収支が明確資料が出にくい

結論はシンプルです。「相場より高い=NG」ではありません

“高いのに安心”は、計画と実行が揃っている状態で、将来の追加負担を減らす意図が読み取れます。
“安いのに危険”は、修繕の先送りや合意形成の弱さが隠れている状態で、いずれ不足が表面化しやすいです。

購入前に見るべきは、月額そのものより「管理会社が説明できる運営かどうか」です。

修繕積立金は、築年数に合わせて上がりやすいのは事実です。
ただし不安の正体は「上がること」ではなく、「なぜ上がるかが見えないこと」にあります。

築30年・築50年まで見据えるなら、相場の外かどうかより、計画・実績・資料の透明性で判断する方が安全です。

「最新のマンション修繕積立金相場」はいくら?

「ネットの記事が古い。最新の相場を知りたい」
「資材高騰ってどれくらい影響してるの?」

「最新の相場」といっても、全国で毎年ひとつの平均額が“正解”として更新されるわけではありません。

ただし、国交省が示すガイドラインや調査結果から、相場の目安や不足が起きやすい構造は読み取れます。

ここでは、一次情報を軸に「平均」「分布」「注意点」を押さえ、あなたの判断材料として使える形にできるよう解説します。

国交省の「ガイドライン」と「マンション総合調査」で見る2025年の相場感

まず基準として、国交省が修繕積立金の考え方を示すガイドラインを公表している点を押さえます。
このガイドラインは2024年6月7日に改訂され、段階増額方式の注意点などもより明確になりました。

また、実態としては国交省の「令和5年度マンション総合調査結果」に平均値が示されています。

「目安(ガイドライン)」と「実態(調査)」をセットで見ると、納得しやすくなります。

2011→2021→2025:相場の“見方”が更新されてきたポイント

年の目安参照する一次情報ここで分かること
2011ガイドライン初版目安の考え方が分かる:マンションの修繕積立金に関するガイドライン
2021前後調査・運用の蓄積実態(平均・分布)が見える:令和5年度マンション総合調査結果
2025視点2024改訂+直近調査段階増額の注意が分かる:マンションの修繕積立金に関するガイドライン 新旧対照表

年ごとに「相場そのもの」が劇的に変わるというより、判断の軸(見方)がアップデートされてきたイメージです。

特に近年は、段階増額方式のまま増額合意ができず不足するケースがある点を踏まえ、安定的な積立の重要性がより強調されています。

実態の平均として、令和5年度マンション総合調査では月/戸あたりの修繕積立金(駐車場収入等を除く)の平均が約1.3万円と示されています。

この「約1.3万円」は“あなたのマンションの正解”ではなく、“平均との差が大きいときに理由を確認するサイン”として使うのがコツです。「安い!」ではなく「なぜ安いのか?」と理由を探る癖をつけて判断してみてください。

この数字は、あくまで全国平均です。首都圏など都心部のマンションはこの金額よりも高くなります。

インフレ・人件費・資材費はどうマンションの修繕積立金に影響する?

修繕積立金が上がりやすい背景には、工事費が複数要素で決まるという事情があります。

マンション修繕は、材料だけでなく足場・人件費・運搬費などがまとまって動くため、外部環境の影響を受けやすいです。

2011年以降:建設費の緩やかな上昇が始まり、修繕費も上向きに

2011年の東日本大震災以降、復興需要の影響で建設業界全体の工事量が増加しました。
この時期から、足場設置や外壁補修など大規模修繕で必要となる工事費が徐々に上昇しています。

当時作られた長期修繕計画の多くは、このコスト上昇を十分に織り込めておらず、
結果として「計画上は足りているはずなのに、実際は不足する」という状況が生まれ始めました。


2020年以降:人件費の上昇で修繕費が一段階跳ね上がる

2020年前後から、建設業界では職人不足が深刻化しました。
高齢化と若手不足が重なり、大規模修繕に関わる職人の人件費が大きく上昇しています。

この影響で、同じ工事内容でも10年前と比べて見積金額が大幅に上がるケースが増えました。
その結果、修繕積立金が不足し、積立金の増額や一時金の徴収を検討せざるを得ないマンションが目立つようになります。


2022年以降:資材価格の高騰が修繕積立金に直撃

2022年以降は、世界的なインフレや国際情勢の影響で、建築資材価格が急上昇しました。
防水材・塗料・金属部材など、マンション修繕に不可欠な資材の価格が短期間で大きく上がったのです。

この影響を受け、すでに組まれていた長期修繕計画の見積額と、実際の工事費との差が一気に拡大しました。

結果として、修繕積立金を引き上げる、あるいは修繕内容を縮小するという厳しい判断を迫られるマンションも増えています。


外部要因が重なると、修繕積立金は「段階的に増える」傾向が強まる

インフレ・人件費上昇・資材費高騰は、それぞれ単独でも修繕費を押し上げます。
しかし実際にはこれらが同時に起きることで、長期修繕計画の前提そのものが崩れやすくなるのが現実です。

その結果、

  • 修繕積立金の段階的な増額
  • 一時金の徴収
  • 修繕内容の見直し・先送り

といった選択を迫られるケースが増えています。

修繕積立金の増加は、管理の失敗だけでなく、時代背景による不可避な側面があることも理解しておくことが重要です。

その結果、長期修繕計画が古いほど「計画の金額」と「現実の見積もり」の差が開きやすくなります。
ここを一度“イメージ”で説明します。

工事費上昇→積立不足→増額/一時金の流れ(イメージ)

工事費上昇 📈
長期修繕計画の金額が古い
必要額と積立額にギャップが生まれる
増額 or 一時金 or 借入(いずれかの選択が迫られる)

この流れのポイントは、「増額=悪」ではなく、ギャップが出たときの対処が必要になることです。本来、早い段階で積立金を必要な金額を徴収する必要があるが、住人とのトラブル回避のために増額を先延ばしにした結果、必要な時期がきて一気に増額せざるを得ない状況になっているということです。

対処の仕方が健全だといえるのは、【計画更新と説明がセット】なされていて、きちんと住民合意が取れる運営ができているマンションです。

逆に、管理会社からの説明が曖昧で意思決定が止まりやすいマンションは、必要な修繕が遅れて資産価値や住み心地に影響しやすくなります。

将来の住まいを選ぶときは、単純に月額が安い=良心的なマンションだと考えるのではなく「更新と合意形成ができる体制」を見ておくと将来安心です。

2025年時点で「相場より修繕積立金が安い」マンションが抱えるリスク

相場より安いと、「この物件お得かも」と感じるのは自然です。

ただ何度もお伝えしてきた通り、修繕積立金は安いことが“将来の追加負担”になり得るため、慎重に見た方がいい領域です。逆に中古マンションで「修繕費が少し高いな」と思われるの場合は、過去に先のオーナーや他の住人が「しっかりと修繕費を蓄えてくれてきている」と解釈することも出来ます。

ここでは、購入前に資料で確認できる「典型的なリスクサイン」を紹介します。
判断ミスを減らすためのチェックとして使ってください。

安いときほど確認したいチェックリスト ✅

チェックすべき項目

  • 長期修繕計画が10年以上見直されていない
  • 修繕積立金が据え置きで、増額の議論がほぼない
  • 一時金の徴収実績がある(または予定が示唆される)
  • 直近の大規模修繕から時間が空きすぎている
  • 議事録や収支報告がすぐ出てこない

このチェックは「当てはまったら即NG」という意味ではありません。
大切なのは、そのマンションの管理会社がこれらの項目に当てはまっている際に、あなたが説明を求めてきちんと理由が説明できるか、そして改善に向けた動きがあるかです。

国交省の調査でも、長期修繕計画の決議や見直しが十分にできていないケースが一定割合あることが示されています。

安さが魅力に見えるときほど、計画と運営の“根拠”を確認すると、将来の後悔を減らせます。

2025年の相場は、国のガイドラインと調査結果を“ものさし”として見るのが最も安全です。平均は約1.3万円と示されていますが、重要なのは平均との差ではなく、差の理由を説明できるかどうかです。

外部要因(工事費など)の影響はゼロにならないため、計画更新と合意形成ができる運営かが重要になります。

「マンション修繕積立金が高すぎる」…相場と言われても不安なときの見抜き方

「不動産屋は“相場です”と言うけど、本当に妥当なの?」
「ぼったくりじゃない?どこを見れば安心できる?」

「相場です」という言葉は便利ですが、修繕積立金はマンションごとの差が大きいので、それだけでは判断できません。

修繕費が高い理由、安い理由が説明できれば、問題ありません。「機械式駐車場がある」「共用のプールなどのコミュニティ施設が充実している」場合には、修繕費は高くなります。

一方で「マンション所有の併設店舗などがあり、そこからの収益がある」ことで、修繕費が低く抑えられている場合もあります。

大切なのは、金額の背景(コスト構造・計画・実績)を、順番通りに確認することです。

ここでは、初心者でも混乱しないように「見る順番」を決め、基準の目安まで紹介します。

「マンション修繕積立金が高すぎる」と感じたときの正しい判断軸:3つの見方で冷静に判断する

修繕積立金は、いわばマンションの“健康診断”の数値です。

数値だけを見て「高い/安い」を決めると、体質(構造)を見落として判断がブレやすくなります。

ここでは、誰でも同じ手順で判断できるように、どの順番で何を確認すべきか?を紹介します。
結論は、高いかどうかより“説明がつくかどうか”です。

まず見るべき3つの順番(この順で見ると迷いが減ります)

  • 1つ目:戸数・共用設備(負担が分散できるか)
  • 2つ目:長期修繕計画と積立方式(均等/段階増額)
  • 3つ目:過去の修繕実績と一時金の有無(運営の実力)

この順番が有効なのは、修繕積立金の増減が「構造→計画→実績」の積み重ねで決まるからです。
たとえば、戸数が少ないのに共用設備が多いと、1戸あたりの負担が増えやすくなります。

また、段階増額方式は将来増額が前提になるため、合意形成が難しいマンションほどリスクが上がる点に注意が必要です。

目安として「月3万円」が即アウトではありません。3万円の“理由”が資料で説明できるなら、むしろ安心材料になることもあります。

購入前に管理組合へ必ず確認すべき事項(聞き方テンプレつき)

修繕積立金の不安は、資料が揃うほど小さくなります。
特に、長期修繕計画・収支報告・議事録は「運営が健全か」を判断する土台です。

ここでは、管理会社や仲介会社に依頼するときに、そのまま使える質問文に落とし込みます。

背景の考え方は、別記事「マンション修繕積立金とは?将来のために知っておくべき本当の話」でも同様の内容を書いております。ぜひこちらも参考にしてみてください。

確認リスト(コピペで使える質問)

「長期修繕計画はいつ更新されましたか?」
「計画期間は30年以上で、残期間内に大規模修繕は2回以上含まれていますか?」
「修繕積立金の積立方式は均等ですか?段階増額ですか?」
「今後30年で、一時金の徴収予定はありますか?」
「直近2〜3年分の総会議事録と収支報告を拝見できますか?」

この質問の狙いは、細かい専門知識で相手を試すことではありません。
相手が「資料に基づいて説明できるか」を見ることで、運営の透明性が分かります。

国交省の調査でも、長期修繕計画の決議や見直し、修繕積立金の不足が課題になり得ることが示されており、資料確認は有効です。

理解できない部分があっても大丈夫です。「説明ができるマンションかどうか」を基準にすると、判断が安定します。

まとめ:修繕積立金は「相場」より“将来まで説明できるか”で決める

修繕積立金の相場は、最初のものさしとして役立ちます。

ただ、本当に大切なのは、築30年・40年後・築50年まで見据えたときに、増額の理由が資料で説明できるかどうかです。

「安いから得」「高いから損」ではなく、計画・実績・透明性で判断すると、購入後の後悔を減らせます。

もし候補物件の資料の読み解きに迷ったら、将来の暮らしを前提に私たちと一緒に整理するだけでも、不安はかなり小さくなるかもしれません。主に神奈川県で「これからの暮らし」を前提に、住まいの選び方から相談したい方は、こちらからご相談ください。

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