設備家づくり

一軒家のトイレは何個必要?後悔しない数の決め方と設計の工夫

家づくりを考えるうえで、意外と悩ましいのが「トイレの数」です。
「1つで足りるのか?」「2つあると便利なのか?」と迷われる方も多いでしょう。

トイレは生活の中でも使用頻度が高く、家族のストレスや動線に大きく影響する設備です。
実は、家族構成・間取り・将来の暮らし方によって、最適な数は変わってきます。

本記事では、注文住宅の設計・施工を行う建築工房としての視点から、「後悔しないトイレの数」の考え方を解説。加えて、配置の工夫やコスト面の注意点についても詳しくお伝えします。

一軒家でトイレの数を決める3つの判断ポイント

一軒家でトイレの数を決める3つの判断ポイント

① 家族構成とライフスタイルに応じて

家族構成 トイレの目安
夫婦二人+子供1人 1つでも可
夫婦二人+子供2人 1〜2つ
夫婦二人+子供3人以上 2つ推奨
二世帯住宅 最低2つ、できれば各階に1つずつ

特にお子さまが思春期になると「長時間こもる」ケースも増えます
トイレの奪い合いが日常になる前に、余裕を持った設計をおすすめします。


② 将来の変化と災害・緊急時への備え

  • 高齢になった親世代との同居

  • 急な体調不良

  • 災害時の断水や詰まり

こうした予期せぬ事態へのリスク分散としても、2つのトイレは心強い備えになります。


③ トイレの不具合時の“詰まりリスク”にも備える

節水型トイレの普及により、詰まりやすい傾向も見られます。
詰まり時には業者を呼ぶしかないケースもあり、その間トイレが使えないという事態にも。

1つしかない場合、「近くのコンビニへ」「庭での仮設処理」など、非現実的な対処が必要になることもあります。

一軒家のトイレの設置場所を考えるときの注意点

来客用と家族用は分けるべき?

  • 来客が使うトイレと、家族の生活導線上のトイレを分けることで快適性が向上します。

  • たとえば、玄関近くに1つ、寝室や洗面脱衣所近くに1つ設置することで、生活の動線がスムーズになります。


平屋と2階建てでトイレ数の考え方は違う?

  • 2階建てでは1階と2階それぞれに1つずつが理想です。

  • 平屋の場合でも、夫婦の寝室から遠い場合や二世帯同居の場合は2つ目を検討する価値があります。

二世帯住宅の場合は、トイレは必ず2つ必要です。理由は2つ。

  1. トイレ問題から大きないざこざに発展することも
  2. トイレの不具合が生じる可能性がある

親子間では、トイレ問題から大きないざこざにも発展しますので、2つ以上あることを強くお勧めします。

トイレ問題から大きないざこざに発展することも

二世帯住宅では、生活リズムが違うことも多く、使用する時間帯の違いがストレスになりがちです。

親が年齢を重ねると、トイレにかかる時間も増えますし、我慢ができない場合もあります。

「たかがトイレ」という考えは危険なことが分かるでしょう。

トイレの不具合が生じる可能性がある

もう1つの理由は、トイレの不具合が生じたときです。

最近のトイレは「節水型」が主流になったこともあり、詰まりが生じることが多いです。

本来であれば、用を足した後、汚物は洗浄水で汚水桝まで流れるべきですが、汚水桝までたどり着くための水量が足りず、横引の排水管の途中で止まってしまうことがあるのです。

トイレを次に使用した方が水を流しても、途中の詰まりが原因で流れが阻害されてしまい、便器のトラップの部分で流れなくなってしまうこともあります。

流れないときは「パッコン」を使って詰まりを除去しますが、パッコンの使い方にもコツがあります。

勢いよく押しすぎると跳ね返りもありますが、跳ね返りを気にしつつも勢いよく押し込んだり、引っ張ったりするのがコツです。

うまくパッコンを使えない場合には、専門の業者さんを呼ぶしかなくなってしまいますが、業者さんが来るまでの時間はトイレを使用できません。

近くにコンビニがあればよいですが、無い場合は庭での排泄を考える羽目になってしまいます。それは避けたいですよね。

普段は使わないからトイレは1つで良いと判断してしまうと、緊急事態の際に「苦渋の決断」をする可能性も生じるため、ご注意ください。

ここまでお話ししてきた通り、有事の際のためにもトイレは2つあるとリスク管理が可能になります。

一軒家のトイレを2つ設ける際の費用感と注意点

コスト目安

  • 便器本体:6〜30万円(グレードによる)

  • トイレ用の面積:約1畳(施工坪単価100万円の場合→50万円前後)

  • 換気設備・紙巻き器などの備品設置費

  • 設備工事費(給排水工事含む)

合計で新築時にトイレを1つ増やすには80万円前後のイニシャルコストがかかることも。

一軒家ではトイレが2つあれば安心だとお伝えしてきましたが、トイレを1つ追加するとコストもかかります。

便器も安くなく、安くても6万円くらいはします。洗浄便座などのグレードを上げると、数十万円にもなります。

場所も必要になりますので、トイレの面積は1畳分必要です。

仮に住宅会社さんの施工坪単価が100万円だった場合、一畳分の床を占有するだけで50万円はイニシャルコストがかかることになります。

他にも、換気設備などの器具代や紙巻き器やタオル掛けなどの備品の費用、設備器具の取り付け費まで考えてみると、1つのトイレを新築時に設置するには80万円くらいの費用がかかることに。

コスト削減の考え方

建設コスト高騰の時代は「いかに安くできるか」を考える必要がある場合も多くあります

そんなときに「トイレを1つ」にすれば、80万円の工事費削減につながります。

イニシャルコストを極力まで下げるためにトイレを1つにする場合、「緊急時にトイレが使えなくなった時にどうするか」を考えておく必要もあります。

そんな時のためにポータブルトイレを常備しておくこともよいかもしれません。

ポータブルトイレは災害時にも使えますし、家での有事の際にも役立つかもしれません。

漏らしてしまうよりは良いと思います。

これから一軒家を建てようと考える方は、有事の際や家族構成など、さまざまな側面を考えてトイレの数を決定してくださいね。

一軒家のトイレは“設計次第”で快適性が変わります

  • トイレの数だけでなく、設置場所・音の配慮・プライバシー動線・採光や換気なども重要です。
  • あすなろ建築工房では、間取り設計の段階で“トイレが家族にとってストレスにならない配置”をご提案しています。
  • また、バリアフリー視点・介護想定・将来の同居可能性など、長期視点でのアドバイスも可能です。

まとめ|後悔しないトイレ計画のために、今できること

一軒家におけるトイレの数は「1つで大丈夫だろう」ではなく、家族構成・将来の生活・緊急時の備えを見据えた計画が大切です。
設計段階でしっかりと考えることで、暮らしの質と家族の満足度が大きく変わります。

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