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建売住宅はリフォームできない?

住宅建築費の高騰が続く現在、住宅の新築にお悩みの方、中古の建売住宅をリフォームをお考えの方も多いのではないでしょうか。

コラムでは、建売住宅やローコスト住宅についてくわしくお伝えしていますが、建売住宅をリフォームして住むのはアリなのでしょうか?

結論からいうと、現在の建売住宅を代表するローコスト住宅のポテンシャルは相当に低いため、リフォーム工事で性能をあげるのは難しいと言わざるを得ません。

コラムの中で、くわしく建売住宅をリフォームできない理由についてお伝えしていきます。

建売住宅はリフォームできない現状

これまでのコラムでお伝えしているように、建売住宅を代表するローコスト住宅のポテンシャルは相当に低いものです。

「法律を守って作っているのだから、そこまで悪くないでしょう」と思われるかもしれませんが、我々プロから見ると、法律の基準のギリギリを攻めた仕様、現場任せな施工となっており、本当に法律で定めた基準がクリアできているか、疑わしいと思うことも。

「いかに安く造るか」だけを追求したものなので、後からリフォーム工事で性能を上げるにはとっても大変なんです。

断熱性能と気密性能をあげるのが困難

建売住宅を快適にするためには、断熱性能と気密性能をとにかく上げる必要があるのですが、これがなかなか簡単にはいきません。

そもそもの基本的なポテンシャルが低いため、改修工事をしても、費用対効果がとても悪いのです。

まず悩むのは、「断熱材の充填し直し」です。

性能をしっかりと上げるのであれば、外壁を剥がして外から断熱材を充填するのがよいのですが、外壁を貼り直すのが大変で、家全体の足場が必要となります。

外壁はサイディング材が使用されていることがほとんどで、再利用ができないため、剥がした外壁材は基本的には廃棄となります。

外壁の張り替えは、かなりの費用がかかるのです。

そのため断熱性能を上げる際には、外壁側からではなく内側から攻めることになります。

内側の石膏ボード壁を外して、断熱材を再充填することが一般的です。

仮住まいも必要になる

断熱性能を上げるため、内側から工事しようとすると、また問題が発生します。

住宅設備はほとんどが外壁に面した部分に設置されているため、結局は住宅設備を全部一度取り外す必要が出てきます。

キッチンもトイレも洗面台もユニットバスも、何もかも全部です。

剥がした石膏ボードは再利用はできないため、これも全部廃棄となります。

工期もそれなりにかかり、主要な設備を外すため、すでにお住まいになっている場合には仮住まいも必要となります。

引っ越し費用、仮住まいの費用もかかってくるため、どんどん金額が膨らんできますよね。

予期せぬ費用が発生する可能性も

建売住宅やローコスト住宅では、構造材もホワイトウッド集成材が使われていることが多く、基本的には長持ちはしない材料です。

業界では有名な野ざらし実験というものがあるので、気になる方はご覧になってください。

もちろんこれは野ざらしにした場合なので、室内でこうなるという話ではありません。

ただ30年、40年、50年という長期のスパンで考えると、雨漏りや結露リスクもあるため、考慮するべき事項だと思います。

建売住宅では耐震的にも基準法ギリギリで建てられており、基準法で定める性能が発揮されていない事例も多くみられます。

外壁や内壁を外した際に、これらの不具合が露呈することも多いです。

見てしまった以上は放置できないため、予期せぬ費用が生じる可能性がとても高くなります。

日射遮蔽も検討が必要

現在の建売住宅やローコスト住宅では、日射遮蔽などもまったく考えられていない場合が多く、断熱材を入れ直したとしても夏はかなり暑いです。

空調方式は全館空調ではなく、各個室での個別空調を基本に考えた間取りなので、結局はエアコン頼みの生活となります。

断熱するだけではなく、日射遮蔽の方法についても同時に検討する必要がありますが、庇やオーニングを設置する費用も生じてくるのです。

ここまで見てきたように、建売住宅の性能をあげるリフォーム工事をするためには、多大な費用と時間が必要になってしまいます。

さらに建売住宅をリフォームしても、どうしても解決できない問題があるため、次に解説しますね。

建売住宅をリフォームできない最大の理由

建売住宅の一番の欠点であり、リフォームで解決できないのは「家の狭さ」です。

建売住宅では、そもそも収納が少なく設計されてしまっているため、どうにも改善できないのです。

仕方がないので小屋裏の空間を使いたくなりますが、それほど大きな空間ではないことも多くあります。

小屋裏を活用するには、天井断熱を屋根断熱に変更する必要がありますが、そう簡単にはできません。

屋根の通気が考えられていないため、結局は屋根の通気のために屋根を張り替える必要もあります。

高さ制限の目一杯に建てられていることも多く、屋根を数cmも上げられないことも多いです。

結局、収納の「床」を増やすことができず、子供室や寝室やリビングなどを狭くして収納を増やす間取り変更を行う必要があります。

建売住宅に多いツーバイフォーの構造の場合には、基本的には間取りの変更は不可となります。

生活を豊かにするための間取り変更ができない可変性の低さが、建売住宅、ローコスト住宅の一番の欠点と言えるかもしれません。

建売住宅のリフォームを考えるとき大事なこと

以上のように、建売住宅やローコストの住宅を住みやすくするには大工事が必要です。

「500万円位かけたら、なんとかならないか」というご相談を頂くことも多いのですが、500万円の予算では、屋根と外壁の塗装、内部の設備の交換が精一杯で、結局は性能を上げられません。

我々が手掛ける住宅の性能と同じところまで引き上げようとすると、建て替えするのと変わらない金額になってしまいます。

それくらい、建売住宅やローコストの住宅とはポテンシャルが低いのです。


建売住宅を改修して快適にお住まいされている方には、私はまだお会いしたことがありません。

「どうしても駅近の家に住みたい」という方で、「費用はかかってもよい」という場合でないと建売購入+性能向上リフォームは選択肢に入れない方がよいでしょう。

建売住宅やローコスト住宅について厳しくお伝えしていますが、一度住んでしまうと本当に後で困ることになるのです。

この事実を知ったうえでご購入されるのであれば構わないのですが、知らないままに「買える住宅」と安易に手を出してしまわれる方が本当に多いのでお伝えさせてもらっています。

将来の日本において、住まいに問題を抱える方がとっても多くなってしまいます。

本当に大事なことは、新しく建てるのであれば「長く住まえる」ことを考えて建てること。

メンテナンスコストとランニングコストを考えて建てないと、これからの世代が疲弊してしまう世の中になってしまいます。

目先のお金でなく、将来のお金を最大限に残せる考え方が家づくりにも大事だと思います。


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