2010年6月8日 学習・研鑽

米国住宅産業研修 第二日目

本日の講義は、「米国の住宅ローンの経済実態を理解する」というテーマで、元Home Street Bank の副社長であるBruce hardy 氏に講義いただきました。

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サブプライム問題とされる米国の経済破綻の原因はいろいろあって、サブプライムに関連することが起因ではなく、主たる起因は、「住宅業界の規制が緩くなったことが一番の原因」とのこと。住宅ローンというものはとても銀行にとっては儲かるもので、商品はお金だけなので、簡単に売ることができて、皆が同じものを売ったこと」によって、住宅購入者にとっては簡単に借りることができたそうです。このため安易な方法での商品の売買が横行してしまって、簡単に借りることができるので、純粋に住宅購入者だけでなく投資的に購入する人がとても多くなってしまった。半年から1年で回収することを目的とする借り入れが多くなり、所得証明が必要なくなってしまい、嘘つきローンも横行したとのこと。
買った住宅の125%もの価値を銀行が認めるようになってしまったので、購入した家を担保に次の投資や、住宅以外の購入(車や家具など)を競う合うように購入するに至ったとのこと。つまり3000万円の家を買った人が、125%の価値を認めてくれるものだから、+750万円のお金を借りることが出来てしまって、この金で高級車やヨットなど購入したそうです。昨日拝見したお宅もたくさんの高級車とヨットが停まっていました。土地も建築費もどんどん値上がりしたので、誰も正常な判断ができなくなり、頭金も揃わない人まで競うあうように、不動産投機に走ったそうです。このため2005年には、家の販売の30~40%が投資対象の購入になってしまったとのこと。そんな自体も長くは続かず、ついに自転車操業的な投機が破綻することになったそうですが、頭金の支払いが少ないこともあって、債券の放棄が続出したそうです。法律的も購入した家自体を放棄すればよく、家を担保に借りたお金で購入した車などの動産は取れることはなく、言ってみれば、「借り得」というような状況だったそうです。取引された金でなく、物(家)で返されることになってしまったので、住んでいない状態での住宅が大量に銀行にストックされるようになってしまいました。そこで政府側の信用機関が銀行の信用度をコントロールし、在庫の土地と家を正規に評価するように求め、銀行は仕方なく損金処理し、売買された金額でなく、本来あるべき付いた値段で売り渡すようになったために、価格が30%~40%も安く取引されるようになったとのこと。結果としてたくさんの銀行と建築会社が破綻することになりましたが、現在でも生き残っている銀行や建築会社は過去に高い金で購入した家を安く買った業者と競争して売りさばく必要があり、今後もまだまだ厳しい状況が続くそうです。家を購入した人も住んでいる限りは損金が発生しませんが、現状としては売ることも出来ず、高い固定資産税を払いながら耐えている状況です。払えなくなっても、法律的には家を手放すだけでよく、日本のように個人破産したり、生命保険をあてにして自殺したりする必要もなく、必要以上に不良住宅が増えているそうです。現在は、Builder(工務店)への新規の融資は厳しくなり、個人投資家に対してのみの貸し出ししか行われていないそうです。

今後は「高額のカスタムハウス(注文住宅)」への貸し出しを中心となるそうです。もう宅地開発での販売は望めないので、確かな回収先として注文住宅が注目されているとのころ。銀行自体もインスペクション(調査)を行い、現場に月に一度は足を運んで、適切な材料と工法がなされているか確認しているとのこと。構造などについては公的なインスペクションがなされることから、銀行は工程と材料を検査しているようです。資材の価格は銀行が把握することになるので、銀行のフォーマットに従って工務店は見積もりを作成し、提出し審査されているそうです。銀行は確実に下請け業者に支払われたことを確認してから、工務店に施主の借り入れた工事費を支払っているとのこと。以上がアメリカの住宅業界に起きている現実です。日本の検査システムと同じ状況になったと言えば、それまでですが、ある意味異常な状況が起こってしまっています。これが消費者にとっていいことなのか、否かは今後判断されることと思いますが、皆にとって厳しいことに変わりありません。

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午前中は以上で、ランチタイムです。徒歩でJapanese Restaurantに移動しました。
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寿司バーは期待していませんでしたが、なかなかいけました。

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午後からは「NAHB(NATIONAL ASSOCIATION OF HOME BUILDERS)の理解」ということでNAHBのオレゴン州代表のJon Chandler氏に講義いただきました。NAHBは全米に800の下部組織を従え、州ごとに支部があるそうです。1942年に創立した際は、300人のメンバーによる11都市の組織だったそうですが、7年後には14000人の120の下部組織となり、1979年にはメンバーが10万人を超え、2005年の最盛期には23万人の構成となったそうです。現在は17万5千人で800の都市となっているそうです。今回の参加団体である全建連は、日本でのNAHBを目指しており、NAHBの現状を知っておくことは不可避のことです。細かいことは今回ブログでは省略しますが、たくさん情報を仕入れることができました。

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夕方で講義も終わったので、せっかくなのでポートランドの街を散策しました。サマータイムなので日が長いのです。
マイケル・グレーブス設計のポートランド・センターです。

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他にもいろいろと見て回りました。夜7時というのにこの明るさです。

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なんだか「カンカン」と踏み切りみたいな音がするなと思ったら、偶然にも、跳ね橋であるBURNSIDE BRIDGEが跳ね上がる瞬間に立ち会うことができました。

上の三角部分を押してみてください。

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この間15分くらいでしょうか。停められた車や歩行者は大変です。

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WILLAMETTE LIVERのナイトクルーズに参加しました。

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川沿いには、水上ハウスが並んでいます。ボートハウスとも呼ばれるものだと思います。各家ともに個性があり、いろいろと工夫されています。昔学生の頃にボートハウスのコンペがあったときに「ボートハウス」というもの自体が理解できなかったことを思い出しました。

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ボートハウスの持ち主はかなりのお金持ちです。クルーザーやボートが係留されているだけでなくセスナも係留?されています。

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デッキで記念撮影です。もう9時近いのですが、明るいです。

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ボート乗船時に記念撮影した写真を写させてもらいました。

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クルーズ終了後はダウンタウンに繰り出して、楽しく過ごしました。詳しくは、、、ブログに書けません、、、、。帰国後聞いてください。(^-^;



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