2009年12月13日 つぶやき(家づくり以外のこと)

カスタマーサービス

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とある事件が起きました。リフォーム工事の中で、分電盤を最新のものに取替えをしたのですが、古いブレーカーはガイシ(陶器製のもの)を用いたヒューズ式のもので、アンティーク感が漂うものでした。お客様は大変この分電盤を気に入っていて、リフォーム後も昔の名残を楽しむために室内に飾る予定にしており、我々にも「取り外し後は大事に保管して置いてください」と依頼されていました。この住宅の引き込み電線が古い二芯のものだったので、現在の三芯のものに取替えを行いました。取替えの工事自体はお客様から電力会社への直接工事で、リフォーム工事の完了後の工事ですが、そこで事件が起きました。その古い分電盤を室内に置いておいたのですが、お客様が不在の際に引き込み電線の取替え工事に訪れた電力会社の下請け業者の担当者が、古いブレーカーを持ち去ってしまいました。工事担当者にとって見れば、「古いブレーカーが残されている。一緒に処分しておいてあげよう。」と善意の気持ちだったのでしょうが、お客様にとっては大事な宝物の一つでした。問題はその後の対応でした。お客様の家の中にあるものを勝手に持ち出したこと。分電盤が無くなったことに気づいたお客様が電力会社に連絡をしても工事担当者に連絡がつかなかったこと。電力会社も当初はことの重大さに気がつかず、「もう産廃業者に回ってしまって見つかりません」と突き放した回答をしてしまったことなどです。この対応にお客様もご立腹され、「ことによっては窃盗で警察に届ける」という話になりました。そこから先方は大変です。分電盤のヒューズ部分は陶器製なので、きちんと分別され、産業廃棄物で出されています。実物の写真を元に、下請け業者は全社を挙げて、その構成部材を探すことになりました。報告書を見せて頂きましたが、かなりの労力を掛けられたようです。すべて見つけ出すことはできなかったのですが、形的にはもとの分電盤の形を取り戻すことができました。しかしそこにあるものは、そこにあった分電盤そのものとは少し部材が変わってしまいました。電力会社、下請け業者、孫受け業者の3者がお客様のところに謝罪に伺うとの事で、本日私も立ち会ってきました。実際の工事担当者は頭を丸めて、涙目で謝罪していました。お客様は「もういいです」と仕方なく納得されていました。「たかが分電盤」かもしれませんが、お客様にとっては「心がこもった思い出の品」でした。カスタマーサービスの在り方について、今回の件、深く勉強させられました。



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