設計ライフスタイル

「居心地の良い家」の秘訣は土地にあり|敷地条件を活かした家づくりとは?

居心地のよい家にするために土地条件、景観は非常に重要です。せっかく良い土地条件があっても、設計で土地の良さを生かせないと住み心地が悪くなってしまいます。

今回は私が家を設計する前に土地を見て、敷地調査しているときの観点について解説したいと思います。

景色が鍵になる!居心地の良い家を生む敷地の選び方

家づくりにおいて、極端なことをいうと景色さえよければ設計はイマイチでも何となく良い家に感じるものです。それくらい、景色がよい敷地は重要です。

以前に土地探しからご一緒させて頂いた家では、敷地の南側が山になっており、自然を身近に感じられる敷地を案内させてもらいました。

南側の山の緑を部屋の中へ取り込む計画を立てた結果、ダイニングの1.5間幅の大開口窓は、緑化率100%の眺めとなりました。

こうした景色の力を最大限に活かした設計は、あすなろ建築工房でも数多く手がけています。
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お客様も足を踏み入れた途端「すてき~!」と声をあげられる家です。「景色がよい敷地は七難隠す」とは私の造語ですが、家づくりにおいて非常に重要だと考えます。

この家の山の手前の敷地との間には道路があり、近隣の高校の通学路になっているため、人通りは多いです。道路との高低差を利用して、歩道からの目線を植栽とベンチで見えないように配慮し設計しました。

また左右の近隣からの目線を無くすために、敢えて南側に建物を配置し、この緑だけがダイニングから見えるように建物を配置しました。

私が気に入った土地であり、敷地条件を読み込んだ結果、景色が素敵な家ができあがったと自負しております。

家を快適にするためには、設計者は敷地条件を読み込んだうえで設計する必要があります。敷地条件の読み込みがうまくいかないと、せっかくの良い土地や景観が生かされない結果になることもあるため、かなりのポイントといえるでしょう。

居心地の良い家を設計するために設計士が見ている土地条件とは?

居心地の良い家を設計するために設計士が見ている土地条件とは?

私は設計する作業の際、それなりの時間をかけて敷地を読み込みます。私が現地で見ている作業は下記となります。

✅車の駐車はどこにするのが適切か

✅敷地内の高低差はどの程度か

✅アプローチするのに最適な位置は

✅冬至や夏至で、朝日が昇る位置と夕日の沈む位置

✅冬至の南中時の太陽の位置

✅敷地内に再利用できる植栽や自然石などはあるか

✅電柱、電線は邪魔にならないか

✅街路灯の位置

✅最終汚水桝、最終雨水桝はどこにあるか

✅ガスの引込、水道の引込はどこにあるか

✅隣や向かいの家の駐車場、玄関、バルコニーの位置

✅隣、向かいの家の居室の窓の位置

✅抜けのよい方向や眺望のよい方向はどちらか

✅居心地のよい場所は敷地内のどこか

✅近隣で見たくないもの(ゴミ置き場など)はあるか

✅夏と冬の卓越風はどこを流れるか

✅どんな音(近隣、車、飛行機など)・香り・臭いがするか

✅ゴミ集積所はどこか

周辺の状況をカメラや360度カメラで撮影し、太陽の動きがわかるアプリ(Sun Seeker)で太陽位置を確認します。

“居心地”を左右する周辺環境|設計前に行うご近所調査

“居心地”を左右する周辺環境|設計前に行うご近所調査

そして環境を肌で感じるために、その場に何もせずに数十分じっとしてみます。ご近所の方が玄関先に出ていらっしゃるようなことがあれば、積極的に声をかけます。

ご近所の方は「隣にどんな家が建つのか」を普段から気にしているため、さり気なくこちらのことを見ているものです。

ご近所の方がいた場合、「この敷地の設計を頼まれている設計士です」と挨拶して土地の状況などをヒアリングします。

風や音のことなどは、やはり住んでいる方に聞く情報が確実です。このように、いろいろと土地の条件を拾い集めることから始めます。

土地の情報と家族のご要望を踏まえ、法的な制限の中で、住み心地のよい家となるよう最適解を求めてプログラミングしていきます。

この土地情報の収集作業は設計するうえではとっても大事です。収集作業なしでいい家を設計することは不可能といえるでしょう。

敷地の特性を活かす工夫が“居心地の良い家”をつくる

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最近はグーグルマップで大体の情報を得られるため、敷地を見ないで設計することもあると聞きます。

日本の住宅の多くは、敷地条件を盛り込まず設計されている家がとても多いです。そのため近隣からの目線が気になり、カーテンを閉め切った家が多くなってしまうのでしょう。

気持ちの良い場所で、周辺からの目線を気にせず過ごせる家族の団らんの場があることは重要です。

外とつながりをもって、カーテンを開け放して過ごす場所が一か所だけでも確保したいものです。

最初からカーテン閉め放しの家って、窮屈に感じてしまって、家の居心地が悪くなります。だから日曜日には家に居ないで、家族でショッピングセンターで過ごすのが当たり前の生活になってしまうのでしょう。

ただ敷地の目線や空気感、風の流れ、香りなどはその場に立ってみないと得られない情報です。とても大事な情報なのに、それを入手しないまま設計するのは私には考えられません。

窓外との関係性をしっかりと配慮して設計できる設計者って本当に少ないと思います。

せっかくの夢のマイホームですから、カーテン締め切りの閉鎖的で窮屈な家ではなく、窓を開け放すことが出来る開放的な居心地のよいお家にして欲しいと切に願います。

まとめ|敷地の特性を活かす工夫が“居心地の良い家”をつくる

居心地のよい家づくりに欠かせないのは、カーテンを開け放せる心地よい空間です。そのためには、その土地ならではの敷地条件をしっかり把握することが重要になります。

私が設計するときには、実際にその土地に立って周辺の状況、近所の方から情報を得ています。そのうえで、土地条件と家族の希望をミックスさせて住み心地のよい家を設計するようにしているのです。

家づくりの際には、設計者と十分に希望を話し合い、土地のよさを生かした家づくりができるようにしたいものですね。

「目線を遮るだけでなく、眺めを取り込む」「音・光・香りを活かす」——
こうした敷地のポテンシャルを引き出す設計は、誰にでもできることではありません。

あすなろ建築工房では、土地探しから設計、施工、アフターケアまで一貫してサポートし、
住む人が「この家にして良かった」と思える空間をご提案しています。

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