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中古マンションの内見チェックリスト|後悔しないためのポイント

中古マンションの「内見」は、新築マンションの「内覧会」とは目的が異なります。

新築の内覧会は、施工精度や不具合を確認する「引き渡し前の品質チェック」の側面が強いのに対して、中古マンションの内見は、建物自体がどの程度長く使える状態にあるか、そして、これから“安心して住み続けられるか”を判断するための大切なプロセスです。

見た目がきれいであっても、構造・配管・断熱性・管理体制などに課題があると、
入居後に追加の工事費が発生したり、快適性に問題が生じるケースも少なくありません。

「この物件は買っていいのか?」
「何年ぐらい、安心して住み続けられるのか?」
「希望する間取り変更はできるのか?」

こうした判断は、内見の時点で“どこを見るか”を知っているかどうかで大きく変わります。

本記事では、建築とリノベーションの両面から住まいづくりを手掛ける
あすなろ建築工房が、内見の際に確認すべきポイントをわかりやすく整理しました。

目次

中古マンションの内見は「状態 × 将来性」を軸にチェックリストを考える

内見で重要なのは「見た目の綺麗さ」よりも、
“建物そのものが健全かどうか” と “今後、家として育てていけるか” という視点です。

新築との目的の違いを整理しておきましょう。

種類主な目的確認するポイント
新築マンションの内覧会施工不良の有無を確認建具・仕上げ・給排水・設備類
中古マンションの内見状態・寿命・改善の余地を評価配管・断熱・管理・修繕計画・間取り可否

中古の場合は、「今は良く見えても、10年後どうなっているか?」が重要です。

中古マンション内見は「4つの視点」で見ると迷わない

まずは全体像をつかむことが肝心です。

視点主な確認内容判断の基準
1.建物の状態劣化・配管・断熱・構造長く安心して住めるか
2.管理状態清掃・修繕計画・組合資産価値が維持されるか
3.専有部間取り変更・水回り位置リノベで希望が叶うか
4.将来性立地・住戸位置・価格推移売却・住み替えのしやすさ

内見では「今どう見えるか」ではなく、
これから10年、20年先も快適に暮らせるかを基準に判断します。

  • 建物の状態は、建物自体の寿命と快適性に直結します。
    配管・断熱・劣化状況は“住んだあとに費用が増える可能性”に関係します。
  • 管理状態は、資産価値と日常の住みやすさを左右します。
    管理が良いマンションは、将来の値崩れがしにくい傾向があります。
  • 専有部の自由度は、リノベでどれだけ暮らしを変えられるかに直結します。
    「変えたい場所が変えられるか」を内見で把握しておくことが肝心です。
  • 将来性は、暮らしが変わったときの「選択肢の広さ」を決めます。
    働き方・家族構成が変わっても、無理なく住み続けられるかを見極めます。

この4つの視点は、図面・管理資料・現地状況を総合して判断する必要があるため、
「内見のその場だけ」で見極めるのは、なかなか難しいものです。

共用部のチェック|管理状態は資産価値に直結します

中古マンションの価値は、建物自体より“管理状態”に大きく左右されます。

管理状態が良いマンション

  • 劣化が遅く
  • 修繕が計画的に進み
  • 住人トラブルが少なく
  • 結果として資産価値が落ちにくい

という傾向があります。もっと具体的に説明していくと、以下の通り。

1. エントランス・共用廊下の清掃状態

週に数回、清掃が入っているか
✅ 手すり・床の汚れ・ゴミの落ち具合
✅ 雨の日の水はけ・滑りやすさ

清掃状態は、管理状況そのものの“鏡”です。

2. 掲示板・管理組合の運営状況

✅ 掲示物が整理されているか
✅ 注意書きが多すぎないか
✅ 更新日が最近かどうか

掲示板には「どんな住人が住んでいるか」「管理が機能しているか」が表れます。近隣住人とのトラブルなど非常時を避けたいなら必ず見ておきましょう。

3. ゴミ置き場

✅ 臭いがこもっていないか
✅ 仕分けルールが明確か
✅ 清掃状況が安定しているか

ゴミ置き場が整っているマンションは、ほぼ例外なく“管理が良い物件”です。

4. 駐輪場・駐車場

✅ 子供用+大人用のラック幅が配慮されているか
✅ 電動自転車充電スペースがあるか
✅ 出し入れ動線がスムーズか

動線が悪いと、日常的にストレスになるうえ、子育て世帯は特に不便を感じやすいです。

5. 大規模修繕の履歴と予定

ここが最重要です。

✅ 何年前に大規模修繕を行ったか
✅ 次回の予定はいつか
✅ そのための積立金が足りているか

修繕積立金が不足しているマンションは、将来、追加徴収される可能性があります。

共用部のチェックは「今の暮らし」と「将来の資産価値」の両方に影響します。必ず内見前にチェックリストに入れておいてください。

中古マンションの内見時に建物自体の状態を読み解く|チェックすべきは「配管・断熱・音」

中古マンションの内見では、室内のきれいさよりも建物が持っている根本性能を確認することが重要です。

なぜなら、壁紙や床材はリノベで簡単に変えられますが、建物の構造・断熱・配管は大きな費用を伴うからです。

🏛 外壁・躯体の劣化状況を確認する

建物の外観は「その物件がどう扱われてきたか」を物語ります。

見る
ポイント

外壁タイルに 浮き・ひび割れ がないか

雨だれ跡(黒いスジ)が多くないか

バルコニー手すりの錆びが進んでいないか

外壁・共用部コンディションの見方

状況判断の目安見たときの解釈次のアクション
〇:ひび割れが浅い(表面的)爪で触れて段差がない経年変化の範囲で大きな問題になりにくい記録として写真だけ撮っておけばOK
△:タイル浮きが部分的にある同じ位置に補修跡がある or 音が軽い管理状態や修繕履歴を確認すべき管理組合に「修繕計画と積立金」を確認
✕:錆び・雨だれが多数 / ひびが深い指でなぞると段差・貫通感がある施工 or 管理の課題・劣化進行の可能性大購入前に専門家の診断を必須にする

内見では、“良い/悪い” の判断よりも「次に何を確認するか」が大切です。
とくに △ や ✕ の項目があった場合は、個人の判断だけでは見極めが難しい部分です。

💧 サッシと結露痕は「断熱性能」のサイン

窓まわりは 住み心地に直結 します。

チェック方法

窓枠に黒ずみ(カビ痕)がないか

冬場は手で触ったときの冷たさを確認

サッシ性能は、後から簡単には変えられません。二重サッシ化は可能ですが、費用は+20〜50万円前後ほどかかってしまいます。

🚿 配管経路は“リノベ費用に最も影響する”要素

「配管がどこを通っているか」で、
水回り(キッチン・洗面・浴室)を動かせるかが決まります。

配管方式特徴リノベの自由度費用の傾向
床下配管床の空間に配管✅ 動かしやすい中程度
天井配管上階の天井から縦に配管△ ケースにより可中〜高
スラブ埋設配管コンクリ内に埋まっている❌ 動かしにくい高 + 作業制限大

→ スラブ配管の場合、キッチン移設に数十万円〜の差が出ます

🔊 音環境は「実際の暮らし」を左右します

音チェックのコツ
  • 家族など複数人で話して、声の反響を確認する
  • 隣室の生活音・上下階の足音が響かないか耳を澄ます
  • 窓を開閉して、外の騒音がどれくらい入るか試す

音は“壁を叩いても”判断できません。体感こそが最も確実です。

専有部のチェック|“変えられるもの / 変えられないもの”を区別する

内見の際は、まず「どこが変えられるのか」を理解することで、購入判断がクリアになります。

項目変えられる変えられない/費用が大きい理由
壁紙・床材✅ 簡単に変更可能表層改善で済むため
設備(キッチン・浴室など)✅ 更新可能交換の選択肢が広い
水回りの位置△ 状況により可能❌ 配管方式次第既存配管が制約になる
間取り変更(壁位置)△ 躯体壁は動かせない✅ 制約大構造壁は不可
天井高・梁・サッシ性能❌ 基本変更不可✅ 建物性能に依存工事制約が大きい

✅ 内見時の「優先チェック手順」

優先度チェック項目理由
★★★配管 / サッシ / 梁変更が難しいため、購入判断に直結
★★☆水回り位置 / 換気経路リノベ費用が大きく変わるため
★☆☆床材 / 建具 / 内装リノベで改善できるため優先度は低め

💡 Q&A:中古マンション内見チェック時によくある誤解

内装が綺麗だから「状態が良い物件」だと思っていい?

いいえ。 内装は「見た目を綺麗にすることが最も簡単」です。
判断すべきは 配管・断熱・管理状態 です。

内見1回だけで判断できますか?

できません。
できれば朝・昼・夜の光と音を比べると判断が安定します。面倒なうえ、何度も内見を依頼するのは申し訳ない‥と感じるかもしれませんが購入してから何十年も後悔することを考えると妥協すべきではありません。

中古マンションでは管理組合と修繕計画を確認しておくべし

中古マンションの価値は、専有部の状態だけでは測れません。
むしろ、“どれだけ適切に管理されてきたか” が、住み心地と資産性に最も大きく影響します。

🗂 修繕積立金と長期修繕計画を必ず確認する理由

中古マンションの価値は「建物そのもの」より、どれだけ丁寧に手入れされてきたか で決まります。
そして、その手入れ(修繕)を支えるのが 修繕積立金長期修繕計画 です。

修繕積立金が不足しているマンションでは、将来の大規模修繕が実施できず、
結果として 劣化が進行 → 資産価値が下がる → 住み心地も悪化、という状態になりやすいです。

修繕は 「定期的に必ず必要になるもの」 です。
あとから住んだ住民だけが不利になることもあります。

📊 確認すべき3つのポイント

見るポイント判断の目安どういう状態?対応・考え方
1.修繕積立金専有面積 × 200〜300円/㎡ / 月 が一般的明らかに安いと「後で追加徴収」になる可能性金額だけでなく 改定履歴 も確認
2.長期修繕計画(30年計画)30年分の計画が作成・更新されている作成が古いまま=実質、計画が機能していない更新時期と計画の見直し有無を確認
3.大規模修繕の履歴12〜16年周期 が理想的実施の遅れ=外壁・防水・配管劣化が進行修繕実施報告書が見れると良い

🟢 / 🟡 / 🔴 で判断しよう

状況状態サインどうすべきか
🟢 良い状態計画 + 積立金 + 修繕履歴が整っている管理組合が機能している安心して検討に進んでOK
🟡 注意積立金が安い or 計画が古い将来の追加徴収の可能性管理会社 or 組合に確認してから判断
🔴 要検討修繕履歴がない / 計画なし / 借入金あり劣化が進んでいる可能性購入前に専門家同席で再評価が必須

🏡 「何㎡ × いくら」で簡単に確認できます

例)修繕積立金:専有70㎡の場合
70㎡ × 250円 = 月17,500円程度が適正ライン

月8,000円など明らかに安い場合は、
「安くてラッキー」ではなく「後で払うことになる前兆」 と考えましょう。

📝 管理組合の“健全性”を見極める方法

内見後に確認できる資料として、管理組合議事録(マンション運営の“会議メモ”であり、建物と住環境の今と今後が分かる資料)があります。

ここには「住民が何に困っているか」「どのように対応されたか」が記録されています。

チェック

過去1〜2年分の議事録がスムーズに提供されるか

トラブルやクレームが放置されていないか

大規模修繕に向けた準備が進んでいるか

議事録は“マンションの健康診断書”です。必ず管理人に確認しておきましょう。

「リノベできるか」を判断するための中古マンション内見におけるチェックポイント

中古マンション購入 × リノベを前提にする場合、
「どこまで変えられるか」を内見時に把握することが重要です。

🏗 チェック①:間取り変更できるかは「動かせる壁」と「動かせない壁」を見分けるだけ

間取り変更の自由度は、壁が構造体かどうかで決まります。

壁の種類動かせる?見分け方影響
躯体壁(建物を支える壁)❌ 動かせない図面で “太く描かれている壁”この壁は残した前提で間取りを考える必要あり
間仕切り壁(部屋を区切るだけの壁)✅ 動かせる厚みが薄い / コンコン叩くと軽い収納拡張や回遊動線などアレンジがしやすい

内見時のコツ

  • 図面を見て、「太い壁=固定」とだけ覚えればOK
  • 家具が入る前の状態で見ると、壁の厚みが分かりやすい

つまり、間取りは“全部”変えられるわけではない。
動かせない壁がどこにあるかを最初に把握するのがポイントです。

🚿 チェック②:水回りの移動は「配管の通り道」と「床の高さ」で決まる

水回りは 配管がどこを通れるか が最重要です。

状況移動のしやすさ見分けるポイント費用感の傾向
床下に配管スペースがある◎ 移設しやすい洗面・トイレの床がフラット費用が抑えやすい
配管がコンクリートに埋まっている✕ ほぼ動かせない床が極端に低い/段差がない大規模工事 or 移設不可
天井や壁を通している△ 条件次第給排水のルートを施工者に確認音や振動対策が必要

内見時の“すぐ使えるチェック”


洗面所とトイレの床に段差や「床上げ」があるかを見る

床が上がっている = そこに配管が通っている → 移動しやすい可能性が高い

☁️ チェック③:天井高さと“梁の出っ張り”は変えられません

部屋が広く見えるかどうかは、
天井の高さそのものより「梁がどれだけ出ているか」で決まります。

見るポイント判断のコツ備考
天井高2,400mm以上だと開放感あり低い場合は照明とカーテンで補正可能
梁下の高さ2,000mmを切ると圧迫感が出る梁は構造なので変更不可

内見時はここを確認👇

  • 梁がどこに通っているか
  • カーテンレールの設置位置
  • ペンダント照明が干渉しないか

🎯 中古マンション購入前に“必ず判断したい3つのポイント”

優先度確認項目理由
✅ 最優先どの壁が動かせないか間取り変更できるかが決まる
✅ 次に重要水回りを動かせるか費用が大きく変わる
✅ 最後に確認天井高さと梁位置住んだときの“印象の良さ”が決まる

この3つは、あとから改善が難しいため“購入前に判断”が鉄則です。

中古マンション購入+リノベの費用で計画する

多くの情報サイトでは
「フルリノベは 800〜1,600万円」と案内されていることがありますが、
それは 表面的な内装更新が中心のケース です。

あすなろ建築工房のリノベーション

  • 自然素材
  • 丁寧な施工
  • 断熱・配管更新を含む性能改善

例えば、当社のように自然素材や断熱など性能改善を前提とする場合は、費用帯は異なります。

💴 60〜70㎡の一般的な費用感

項目一般的な相場あすなろ基準備考
スケルトン工事1,000〜1,800万円2,300〜3,500万円性能改善の有無で差が出る
設計監理費10〜15%同等丁寧な設計は不可欠
仮住まい・引越50〜100万円同等期間に応じて変動

→ もし、長く住むことができる高機能マンションを検討しているのであれば、当社のような工務店に依頼すれば実現可能です。当社の場合は一般的な設計管理費より安く、6%となっており、合計:4,800〜7,000万円前後が現実的な計画レンジになります。

🧭 判断に迷ったら

内見は「その場の印象」だけでは判断が難しく、
実際には以下の情報をセットで見ていく必要があります。

✅図面
✅配管状況
✅管理資料
✅リノベ希望内容

これらを総合してはじめて、買うかどうかの判断ができます。

中古マンションの内見は、
“自分の目だけで判断する”ことが最も難しい工程です。

あすなろ建築工房では、
購入前の段階で 「内見同行 × リノベ適性診断」 を行っています。

「この物件は、買ってから困らないか?」
「希望の間取りは実現できるか?」
「断熱・音・配管など、住み心地に影響する部分はどうか?」

こうした判断を、建築のプロの視点でサポートします。自分の知識だけで判断が難しいと感じる方はぜひ当社を頼ってください。以下のリンクをクリック後、「リフォーム工事・リノベーション工事をご検討中の方」よりお問い合わせください。

👉 お問い合わせはこちら

まとめ|中古マンションの内見は「未来の暮らしを見極める日」

中古マンションの内見では、室内のきれいさよりも、変えられない部分 に注目することが大切です。
とくに次の3点は、購入前に必ず確認しておきたいポイントです。

確認ポイント理由
1.躯体壁・梁・天井高さ間取り変更できる範囲が決まるため
2.配管方式・水回り位置リノベ費用に大きな差が出るため
3.サッシ・断熱・換気性能日々の快適さと光熱費に直結するため

表面的な内装は後から変えられます。
一方で、構造・設備・断熱などの「基礎性能」を正しく見極めるには、専門的な視点が必要になります。

「この物件、買っても大丈夫?」と迷ったら

あすなろスタッフ

あすなろ建築工房では、購入前の段階で内見同行 × リノベ適性診断 を行っています。

  • 希望する間取りが実現できるか
  • どこに費用がかかりそうか
  • 住んだ後の快適性に影響する点はどこか

といった“判断しづらいポイント”を、現場でわかりやすくお伝えします。

👉 まずは気軽にご相談ください(オンライン相談も可能です)


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