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被災後の注意点とは

能登半島での地震を受けて、以前のコラムでは応急危険度判定と耐震判断の解説をさせていただきました。

時間が経つにつれて、被害状況も明らかになってきております。

ニュースでは、よく「罹(り)災証明」という言葉を耳にすると思いますが、それ以外にもさまざまな調査が現地では行われます。

今回は被災後の調査や注意すべきことをお伝えしたいと思います。

被災後の調査について

被災後には、さまざまな調査が行われます。

ニュースなどでもよく耳にする「罹(り)災証明」は、上記の調査とは別の調査となります。

「罹災証明」とは、家屋の被害程度を市町村長が証明するものです。

被災者への各種の支援施策や税の減免等を被災者が申請する際に必要となります。

被災した家屋の損害割合を算出し、資産価値の観点からの被害程度(全壊、半壊等)を明らかにするもので、建物の持ち主の依頼があって行われます。

被災した建築物の内部に調査員が立ち入って調査します。

建築物の沈下、傾斜および構造躯体などの損傷状況を調査することによって、その被災の程度を「軽微」「小破」「中破」「大破」と区分するのです。

「最低限確保しておきたい耐震性」でご紹介した被害状況のどこに該当するかを判断をする作業です。

https://www.asunaro-studio.com/column/2024/011912022.html

さらに、地震保険の保険金審査のために保険会社が行う調査もあります。

応急危険度判定、罹災証明の調査、保険会社の調査はまったく違う人が違う時期に違う内容で行いますので、混同の無いように事前に知っておくとよいでしょう。

多くの調査が行われますが、まずは人命が最優先ですので、家の耐震性能をしっかりしておくことが大事です。

新築であれば、できる限りの耐震性能つまりは耐震等級3を確保しておいてください。

既存の住宅であれば、しっかりと耐震診断を行い、出来る限りの耐震補強を行っていただければと思います。

逃げ地図の備えも必要

津波が想定される地域にお住まいの方は、「逃げ地図」の作成と確認を行って備えておくことも大事です。

「逃げ地図」とは、東日本大震災の津波被害を見て、今後同じような被災者を出さないために、日建設計の後輩の羽鳥君率いる若手チームが考案したものです。

「逃げ地図」の有用性に関する記事はこちら

逃げ地図とは、避難地点までの時間を色鉛筆で塗り分けて作成する地図です。

道路が色ぬりされることで、直感的に危険な場所と逃げるべき方向を理解することができますよ。

被災された方は詐欺に注意!

そして被災された方の気を付けていただきたいのは、被災後に増える「詐欺営業」です。

「無料で耐震診断します」「無料で屋根の状況を調査します」などと、被害に漬け込む形で営業をする人たちです。

過去にも大きな被害が起きた地域には、必ず現れています。能登半島でも、すでに詐欺が問題になっていますよね。

彼らは火事場泥棒のようなことを平気でやっていきます。

屋根にブルーシートをかけて数十万円を請求するなど、法外な応急処置費や修理費を請求してきます。

善意でボランティアで行っている人たちもいると思いますが、その場合には何かしらの団体に所属して活動していると思います。

一番よい防御策は普段から家守り工務店と付き合いを持っておいて、このような飛び込み営業を受けないことです。

そういったお付き合いがない場合でも、詐欺営業がやってくる可能性を頭に入れておくだけでも対応を変えられますので、ぜひ覚えておいてくださいね。

上記で述べてきたように、被災後にはさまざまな調査が行われると同時に詐欺営業も増加します。

普段から災害が多い地域にお住いの方は逃げ地図などの備え、普段から家守り工務店との付き合いなど、できることをしておきましょう。


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