2020年12月20日 つぶやき(家づくり以外のこと)

頭でっかちな建て主になってはいけない

「床下エアコンについて聞きたい」とお名前を名乗らない方から事務所にお電話がありました。

「床下の掃除の頻度は?」「導入費用は?」「必要なエアコンのKW数は?」などなど、やたらと細かなことを聞いていらっしゃいました。

「建てるお家の立地条件によって必要な性能値もエアコンの能力も変わってきます」とお伝えしても、「でいくらくらいかかるのか」と何とか数字を引き出そうとしつこく聞いていらっしゃいました。

「とにかく立地条件によって変わるので、ご計画地は横浜ですか?」とお伺いすると「計画地は岡山で、すでに設計が進んでいる」とのことでした。

お電話の主は、設計者でなく、建て主だと言うことでした。

設計の段階で建て主がこのような話を聞いてくる時点でアウトだと思います。残念ながら良い家にはならないでしょう。

こちらからは「床下エアコンは手段であって、目的ではない。立地条件を見据えて、性能を定め、適した設備を設けるのが設計です。施主の仕事ではなく設計者の仕事です。施主は『どんな暮らしがしたいのか』という希望を設計者に伝えるだけでよいのです。その希望に応えてくれるように設計者に依頼してください。施主があまりに細かな仕様を定めるのは良い結果にはつながらないですよ。」とお伝えさせて頂きました。

伝わったのかどうか、、、。そそくさと電話を切られてしまったので、きっと伝わらなかったと思います。

最近、このような問い合わせがとても多いように感じています。

ちまたに情報が溢れすぎていて、設計者を信じることが出来なくなってしまっている人がとても多いのです。

設計者が信用できないために、自分でいろいろと調べて、設計者(住宅会社の営業?)にその数値の達成を求めようとしているようです。

youtubeなどで簡単に情報が得られるので、建て主自身が勉強をしすぎてしまっているみたいです。もちろん家づくりを行う前に、建て主として知っておくべきことは多くありますが、必要以上に知識を得てしまうものもどうかとは思っています。

溢れた情報に溺れてしまって、とにかく数値で定めようとしてしまっている。

そして、数値だけ求めて、その数値を達成するだけで満足してしまう。

Ua値が〇〇だとか、C値が〇〇だとか、η値が〇まるだとか、大事なことではありますが、立地条件や家族構成や住まい方で必要な数値は変わってきます。

なにもかも数値を求めすぎるとアンバランスな家になります。

家ってそんな数値で測ることが出来ない部分が実はとっても多く、そちらのほうが住まい心地に大きくかかわります。

もちろん数値も大事です。しかしそれ以上に、バランスが大事なんです。

それに応えられない設計者にも問題はあるとは思いますが、建て主が数字を口にしすぎては、よい家にはならないと思います。

「頭でっかちな建て主になってはいけない」と改めて感じる出来事でした。

 

 



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