2019年2月21日 学習・研鑽

沖縄住宅を学ぶ

 

「伊礼さんと廻る沖縄住宅の旅」に行ってきました。伊礼さんとは、建築家の伊礼智さんです。住宅設計業界で知らない人は居ないというくらい超有名建築家です。伊礼さんの設計されるお家は、とても居心地がよく、人気が高く、工務店のモデルハウスも数多く手がけられています。あすなろ建築工房にお越しになるお客様も伊礼さんファンの人が多いと感じています。そんな伊礼さんと伊礼さんの故郷である沖縄の街を巡り、建築を学ぶというツアーです。私が所属するJBN全国工務店協会の次世代の会で企画したもので、次世代の会メンバー限定という贅沢なツアーとなりました。写真は那覇空港での集合場所で伊礼さんと歓談の様子。

 

 

空港からまず名護まで移動しまし、名護市庁舎を見学。

 

 

老朽化が進んでいて、現地では問題となっているとのこと。たくさん飾られていたシーサーも危険なためほとんど撤去されてしまっています。

 

 

1980年完成なので、もう40年経っています。南国の植物に囲われて異国情緒も感じられて名建築であると思うのですが、40年経ってしまうと、実際の使い勝手はいろいろと問題があるようです。

 

 

そして今回の旅のメインである伊是名島の「銘苅家」へ。那覇から遠い離島にあるので、なかなか見ることが出来ないと言われている住宅です。フェリーで移動中の一コマ。

 

 

「銘苅家」は住宅建築を携わる人にとっては「一度は訪れたい」と思っているに違いない住宅なんです。

 

 

これまで何度もスライドで見て来た住宅です。やはり実際に体感するといいですね。身体にスッーと入ってきます。

 

 

伊礼さんからの解説付きという贅沢。

 

 

アマハジ(雨端)と呼ばれる内と外の中間領域はホントに気持ちの良い空間でした。

 

 

伊是名島からフェリーで本島に戻り、中村家住宅に向かう途中で遅いお昼ご飯。

 

 

ソーキそばの発祥の店で、ソーキそば頂きました。美味しゅうございました。

 

 

国指定重要文化財 中村家住宅に到着。ここは便利な場所にあるので、私は今回で3回目の訪問です。

 

 

銘苅家に比べるとかなり都会的。

 

 

修復もしっかりされて管理が行き届いています。

 

 

中村家のアマハジも居心地は抜群です。

 

 

外の見せ方がとても上手い。とても参考になります。

 

 

 

屋根の姿も格好いいですね。大きな平屋を設計する時には参考にしたいです。

 

 

時間の許す限り、内部空間を堪能してきました。

 

 

今回のツアーの贅沢な部分は、「移動も食事もずーっと伊礼さんと一緒」ってところです。お酒が大好きな伊礼さんなので、話が尽きません。

 

 

2次会、3次会と続きます。伊礼さんがとっても似合う街。那覇の栄町。横浜の野毛みたいで、こじんまりしていて、個性のあるいいお店がたくさんありました。

 

 

栄町のなかにある「べんり屋」さんという中華点心のお店で、美味しい点心を頂いて参りました。

 

 

私も点心は台湾を含めいろいろと食べてきましたが、ここの小籠包がこれまでで一番美味しかった!アツアツの皮を破くと、ジューシーなスープがドバっと溢れ出てきます。あ~、思い出して、また食べたくなってしまった、、、。

 

 

識名園を見学。琉球王朝の王様の別邸です。戦火で焼かれてしまっての再建された建物ですが、南国の家づくりを隅々まで学ぶことが出来ます。

 

 

中庭の使い方がとても効果的でした。面積の大きなお家は、奥の部屋に光を導くために中庭を設けることになるのですが、そんな時のプランニングの参考になります。

 

 

南側の縁側部分に設けらた突き出しの鎧窓。夏の日差しを遮り、通風を確保するには効果的な方法です。現在進行中の新築計画でどこかに取り入れたいと思います。

 

 

伊礼さんから解説を受ける同行メンバー。贅沢ですね。

 

 

アマハジで記念写真。

 

 

続いて、聖クララ修道院。1958年完成。設計はあのSOM(東京ミッドタウンで設計をご一緒していました)。花ブロックによるファサードが日射遮蔽が意匠的にも温熱的にも効果的です。

 

 

内部に入ると、ステンドグラスが美しい。教会ってこれまでもいろいろ見てきましたが、印象的な光の取り入れ方はいつも勉強になります。

 

 

中庭に面した廊下。教会の回廊ってどこも気持ちがよい。軽やかな風が吹き抜け、南国のなんとも言えない心地よさを感じる場所です。

 

 

庇のディテールも工夫がされていて、設計者魂をくすぐります。

 

 

勝手口のハンドル金物が初めて見るタイプのものでした。もうこんな仕掛けのハンドルは売ってないですね。大事に使われていることが分かります。

 

 

続いて、沖縄の有名建築家の金城司さんのご実家(金城信吉氏設計)を拝見させていただきました。

 

 

外部は植物に覆われ、完全に自然と同化していました。

 

 

沖縄の伝統建築の手法を取り入れ、現代建築に再構築した住宅です。RC構造と木構造のハイブリット構造の空間はダイナミックでかつ、居心地の良い空間をもたらしていました。ここにもアマハジ空間がしっかり確保されています。

 

 

 

伊礼さんも初めての見学だったそうで、感嘆しきりでした。「もっと早く見に来たかった」と、、、、。

 

 

ご実家の建物は現在はお姉様の陶芸工房として活用されているとのこと。味わいのある湯呑茶碗を4つ購入ささせて頂きました。事務所でお茶を出しする際は、このお湯呑でお出しすることもあると思います。お楽しみに。

 

 

続いて、金城さんが主宰されている「門(じょう)建築設計事務所」にお伺いしました。

 

 

なんてカッコいい事務所なんでしょう。金城さんのお父様である金城信吉氏の設計は、沖縄伝統建築をしっかりと守った設計方法ですが、この思想から現代のモダンなスタイルへ置き換えられた設計方法ですね。伊礼さん曰く「沖縄の毛深い建築から脱毛し、オヤジと異なる、超モダンな沖縄の建築を模索している」とのこと。(^^)

 

 

 

事務所のご近所の住宅作品を拝見しました。沖縄の青い空に映えますね。コンクリート壁の端部角が立ちまくっています。なかなか真似できません。

 

 

帰りの那覇空港の様子。ギリギリまでオリオンビールで名残を惜しんでいます。

 

 

いろいろと貴重な体験をした旅でした。ご案内頂いた伊礼智さん、現地コーディネートしてくれた増田悟郎さん、貴重な建物を拝見させてくださった金城司さん、幹事役の大澤正美さん、一緒に遊んでくれた次世代の会の皆様、ありがとうございました。



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