2018年9月5日 学習・研鑽

実験住宅の今昔

 

京都にて「聴竹居」を見てきました。「聴竹居」とは、建築家の藤井厚二が、1928年に京都府大山崎町に建てた自邸で、日本の気候風土に合わせて建設された「日本で最初の環境共生住宅」と言われています。住宅設計に関わる者の間では、近代住宅建築の名作とされているものです。

台風の影響で他に予定していた見学先が軒並みクローズとなってしまった中、「傷ついた姿も見て欲しい」との思いの中、ボランティアの方々のご尽力により本日の公開となったとのことでした。事前の拝観許可が必要な場所なので、感謝感謝です。

藤井厚二は自宅を実験住宅と称し、5つの自宅を建てており、「聴竹居」は5つ目の集大成とのこと。実験住宅というだけあって、様々な実験的な仕組みが施されており、90年前に建てられたとは思えない、現代にそのまま通ずる手法ばかりでした。基礎下に設けたクールチューブに麓から吹き上げる夏の風を取り込んで冷房に使うなど、当時としては最新、今となっても十分に機能する工夫が盛りだくさん。構造的にも雑壁や造り付け家具の耐震性を見込んで配置し、意匠と機能を両立させるなど、今後の設計に活かせるアイデアが満載でした。性能だけでなく、しっかりとデザインされた空間は大変居心地の良いものでした。六ッ川の家もいろいろと実験を施していますが、「聴竹居」にはまったく敵いません。常に挑み続けるこの姿勢を今後も見習って行きたいです。写真のSNS掲載がNGとされているため、道路からの写真だけですみません。興味のある方は是非足を運んでみてください。後悔させません。



他の記事をみる