2024年9月5日 学習・研鑽
北欧ツアー報告6日目
北欧ツアー六日目の午前は移動の一日。セイナヨキの街からトゥルクの街へ移動します。途中のレストエリア(道の駅みたいな場所)で、バスから降りてランチ。
レストエリアに居た宅配ロボットに興味津々。
建築を志すといつかは訪問したいと思う「マイレア邸」が今日の一番の目的地。
バスから降りて松林を抜けると現れました。
気温は25.6℃。
日差しの下では少し汗をかくくらいで、過ごしやすい気温です。
真っ青な空の下、周囲の松林と一体化して溶け込んでいました。
現地ガイドさんの指示に従って、2班に分けて見学させてもらいました。
内部は聞いていた通り撮影禁止。
「たくさんウェブや本に写真は載っているからそれを見て!」ってこと。
ということで、外部からの写真だけです。(^^)
何度も写真集などで見ていましたが、やはり実物を見ると違います。
日差しが気になる方位の窓には外付けブラインド。
外付けプラインドの微妙な取り付け高さの変化への工夫などほんとに細かく計算されています。
日射を遮るためのルーバー庇。
サンルームの掃き出し窓の軒天は細巾木仕上げ。
おそらく松と思われます。
掃き出し開き戸の足元に妙に出っ張った石が、、、。
よく見たら鉄棒が埋められています。開き戸のストッパーでした。
さりげなくてニクいディテール。
北側だけど小さなルーバー庇。
これは日除けではなくツタを這わすためなのかもしれません。
お庭の芝は自動芝刈りロボットが大活躍。
おそらく外断熱。
窓の深さが物語っています。
ガイドさんが「北側の窓は掃き出しの大開口だけど引込が出来ます」って言っていたのですが、「えっこの大きさで引けないでしょう」と英語なので聞き間違いしたのかと思っていたのですが、外側に再度出てみてびっくり。
引込部を見るとちゃんと引込が出来るようになっていました。
上部のヒンジの欠きこみがあることで分かります。
サンルームの部分は、オーニング窓になっていて通風に配慮がされています。
中庭パティオにある暖炉は石積みで屋根に登る階段を兼ねています。
こんなディテールにキュンキュンしまくりです。
離れに繋がるパティオも気持ちがよい場所。
サウナ小屋の屋根は草屋根。
組柱にして、存在感、威圧感を軽減しています。
雨の道も遠くに落ちるように配慮。
草屋根は待つの表皮を防水紙代わりに使っている?
プール越しにみる母屋。
庭の照明もデザインされてます。
手摺は松の丸太のまま。
母屋の東側のファサード。
ツタを這わせたルーバー屋根を支える柱は斜めにして組み柱になっています。
先ほどのサウナ小屋に繋がる草屋根といい、鹿児島のシンケンの迫さんは、このマイレア邸からインスピレーション得たに違いないと勝手に想像します。
蔦を生やすための木ルーバーがファサードに変化を付けるように長さが微妙に帰られています。
こんな憎い仕掛けが、、、。
玄関ポーチは壁にするのではなく、細い丸太を並べて、柔らかく外部とつなぐ役目をしています。
この柱も組み柱で威圧感、存在感を和らげています。
現場で大工が工夫したであろうと思われるディテール。
マッシブな柱を一所懸命に丸太で隠しています。(^^)
屋上に繋がる螺旋階段。
メンテナンス性も考えられています。
西側は半地下になっています。扉が開いているところがショップになっています。
バルコニーの手摺も軽快。
外構木戸の金具。
これもオリジナルなのだろうか。
パティオの軒天の照明器具。
電球が直接見えないような渦巻ルーバーになっています。
のぞき穴兼明かり窓。
これを真似している人は多いですね。
マイレア邸は、本やスライドでは知り得ないことがたくさんありました。
内部は写真が無いので文章だけとなりますが、図面からでは分からないこととして、シークエンスが考えられていることに改めて感動してきました。
とにかく空間の仕切り方が絶妙でした。
家族の気配を感じることが出来るように目線を切りつつも居場所と居場所がいい感じで繋がっていました。
規則的な柱や壁面ではなく、円柱の組み柱や列柱で本当に「自由」に仕切られていました。
調度品やアートも驚くべきものばかり。
ピカソの絵画やカルダーのモビールなどの展示もあり、大人のおもちゃ箱のよう。
ポールヘニングセンがデザインしたピアノも初めて見ました。
子供との関わり方も建築的な解決がなされていました。
そりゃ、これだけのアートがある中でボール遊びされたら気が気ではありません。
空調方式もしっかり考えられていました。
暖炉の前にはケバブ屋さんにあるような肉が回転する電動回転装置などもありました。
限られた時間内での見学ではありましたが堪能させていただきました。
お腹いっぱいです。
マイレア邸から出て、バスが停まっているところまで歩く道すがら見えるのはこんな景色。
のどかな場所にあることが分かります。
マイレア邸からトゥルクの街までの途中でラウマ旧市街に立ち寄りました。
ほとんどの家屋は私有物で、普通に一般の市民が暮らしています。
民家園のような見世物ではなく、活用された状態つまり生きた状態で保存されることの大事さを改めて感じます。
古い木造建築が建ち並ぶ街並みです。
ここもユネスコの世界遺産に登録されています。
付き出しサインで何のお店か分かります。
こういうのいいですよね~。
レンガ積み外壁の木造です。
現存する最古の家屋は18世紀のものもあるとのこと。
こんな路地はなんだか日本の街並みにも似ています。
路地内には、時折このような中庭があり、住戸が面しています。
表通りの喧騒を感じさせない落ち着いた空間でした。
いろいろな色で塗られた木板の外壁。
メンテナンスがしっかりとなされています。
小腹が空いたので、キヨスクみたいな売店でハンバーガー。
意外に美味しい。
街中に無口な女性が1人。
塗装中の建物。
スパイダーリフトを用いて一人で塗装。
「日本もこれでいいじゃん」と思うのだけど、、、。
市街に流れる水路。
「いい街だな~」と感じる風景です。
街の外れには、木造ではなく石積みの建物もあります。
聖十字架教会。
窓の深さが、構造体の厚みを語っています。
屋根は松の厚板張り。
コールタールが塗られています。
教会の脇の石に打ち込まれた鉄くぎ。
何のために使われたものか分かりませんが、相当に古いものと思われます。
日本だと「危険」と、すぐに抜かれてしまいそう。
トゥルクの街に夜の建築散歩。
アアルト設計の集合住宅などを見ながら散策。
アアルト設計の新聞社の社屋建物。
入り口のガラス越しに階段の様子を確認してきました。
トゥルクの街にもハーラリを着た学生たちがたくさん。
9月頭ということで、入学シーズンの新入生歓迎コンパとかなんでしょうね。
明日に続きます。
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