2021年4月14日 家づくりコラム

モノに執着しないシンプルな生活

知人工務店さんのお客様宅での撮影に同行させて頂きました。そのお家の住まい手さんは「ミニマリスト」と呼ばれるシンプルな生活をされている方でした。玄関入った瞬間に「モノが少ない!」と驚いてしまうほどのシンプルさでした。

私たちが当たり前のように家にあるものと思ってしまっているテレビもソファーもありません。リビングにはスギのフローリングの上にクッションが一つ置いてあるだけ。まだ生まれたばかりのお子様がいらっしゃるのですが、ベビー用品で溢れかえることなく、ベビーバスケットが一つあるだけ。

 

キッチンも土鍋とフライパンと鍋があるだけ。

 

食器も戸棚一つに収まる量だけ。箸もフォークも家族分だけ。

 

ザルは竹で編んだ竹ザル。

 

いちばん驚いたのが、文房具。カッターもハサミもボールペンも一つずつだけ。磁石が付けてあって、それぞれが壁に貼り付けてあって、居場所が決められていました。居場所にいなければ、誰かが使っているというのが一目で分かるものでした。

 

ご夫婦のお洋服もこの量。

 

「お子さんの誕生」をきっかけにモノに執着した生活から離れ、シンプルな生活に移行されたとのこと。「どれにしようか」「かたづけ」などから解放されることにより、思考が簡単になって脳が楽になるとのお話でした。なるほど、モノに溢れているから、悩むのですね。

身の回りのものがシンプルであることで、行動の過程に「悩み」が少なくなり、行動がシンプルになるそうです。「ママでないとモノの場所が分からない」なんてお家は多いと思います。家の中にあるものがシンプルだと、家族それぞれが、モノの場所を理解できるとのこと。

悩むような同じモノを置かない、持たないことから始まります。つまり「モノ自体を減らすこと」です。

減らすためには「捨てる」「買わない」ことから始まります。モノを限定することになります。「モノを1つ増やす」時には「モノを1つ減らす」のだそうです。

お子様のおもちゃ箱がとても分かりやすかったです。二人のお子様のおもちゃは30cm×40cm×20cm程度の4つの箱に収まるものだけに限定されていました。子供たちも家族のルールの中で、この箱から溢れてしまうおもちゃは持つことが出来ないのです。ということもあって、家族でマクドナルドに行った場合、子供たちはハッピーセットのおもちゃが「本当に欲しいものか」をその場で考え、そのオマケのおもちゃが、家の箱の何かと引き換えになる価値があるかどうかを判断します。その結果、「ハッピーセットを選ばない」という判断を子供ながらにするとのことでした。まだ小学校にも上がっていない小さなお子様でしたが、モノの価値をしっかりと自分の頭で考えているということですね。

そして、家の中にあるものは「とっておきの一つ」に限定されているとのことでした。収納アドバイザーの『こんまり』さんが「ときめくかどうか?」で判断されているのと同じように、自分にとってかけがえのない一つなのかどうかで判断しているとのこと。

 

そして、もう一つ、モノを少なくするための秘訣をお伺いしました。「隠さないといけないものは買わない」とのこと。「隠さないといけないもの」とはお客様に見せたくないもの、または自分たちも見たくないもの、ということです。お客様に見せたくないもの自体が家の中には無いので、お客さんを通せない部屋もなく、片づけをする必要もない。いつだれが家を訪問しても、快く家の奥まで通すことが出来る。実際に先日も見ず知らずの私たちでしたが、自由に家の中を見せて頂きました。「隠さないといけないものは持たない」ことで、カッコ悪いものは持たなくなります。掃除機も塵取りもデザイン性に優れた見ていて嫌じゃないものを選ばれていました。クローゼットの中もスッキリしていて、扉もありません。家全体が開放的でとても住まいやすいものでした。

 

ご馳走になったタルト。フォークの代わりに添えられているのは庭木の枝から作られたつまようじ。なんだか心が洗われた気持ちになりました。

モノに溢れた生活から離れ、本当によいものだけを所有する生活。本当の幸せを感じさせてもらいました。ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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