2013年6月15日 イベント(見学会・セミナー・交流会)

清家清先生「保土ヶ谷の家-ダバダの家としての再生-」見学会

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本日は、清家清先生設計の「保土ヶ谷の家-ダバダの家としての再生-」の見学会を開催いたしました。

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清家先生は大学の大先輩であり、私の大学時の先生からの依頼もあって、2年前からこの家の補修メンテナンスの御手伝いをさせて頂いております。

一時期は元オーナーの債務返済のために競売に掛けられマンションに建て替えられてしまう危機もあったそうですが、関係者の尽力により、敷地南側のクヌギ林を横浜市に売却・緑地保全されることになり、解体の危機からは脱することができました。

外壁、屋根、水回りなどの修繕を今すぐにでも行わなければならない状況ですが、南側土地の売却費も相続税の支払いですべて使い切っており、修繕費を工面できずに数年が経っています。規模が大きな建物であるため、またオリジナルに戻した修繕でなければならないと考えているため、その修繕費も個人がまかなえる費用ではありませんでした。これまで、「地域のたまり場」として横浜市や神奈川県の補助金を得ることで保存再生の道を探っておりましたが、その計画も残念ながら現在は頓挫している状況です。横浜市の「地域福祉・交流拠点モデル事業」に応募するには「実績のあるNPO団体でないと応募が出来ない」「不特定多数が使用する施設となることからバリアフリー対応(スロープやEVの設置)や消防法に合わせた避難誘導灯の設置などが必要」などの障壁があり、応募を見送った経緯があります。

現在は補助金の活用をあきらめ、大学や民間への貸し出しを視野に入れるなど、保存するにあたり別の方策も考えています。

本日は、オーナー様のご好意にあずかり、私のフェイスブック友達や旧友などに声をかけ、建築関係の有識者の方にお越し頂き、保存再生に向けてのご意見・ご指南を頂きたいと考え、見学会を開催するに至ったものです。

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当初は「私の知人+α」位の見学会のつもりでしたが、フェイスブックでの見学会のお知らせがシェアされる形で広まったようで、見学会開始時間前から多くの人がお越しくださいました。

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玄関もあっという間に靴で一杯に。

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40年間、中を見ることが出来なかった建物でもあったので、遠くからもわざわざ足を運んだ方も多くいらっしゃいました。

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最寄り駅から建物までの間に人の流れが起きていたそうで、ご近所では「何が起きたの?」的な感じだったそうです。これだけ大勢の人が入っても、なぜか建物の中は意外に涼しいのです。クヌギ林で冷やされた風が建物内を吹きぬけ、とっても居心地がいい環境であることを体感していただけたと思います。

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オーナー様のご好意により、竣工当時の雑誌や建設当時の写真もご覧頂きました。清家先生の直筆のお葉書などもあり、皆さん食入るようにご覧になっていらっしゃいました。

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皆様がお帰りになった後に、ほっと一息、オーナー様とリビングでお茶を頂きました。夕方のこの時間帯がまたいい感じなのです。

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終わってみると、387名の方にお越しいただくことが出来ました。ちょっとお知らせしただけでこの人数ですので、今後行政にこの建物の建築学術的歴史的価値をアピールしていく際にも、効果のある数字だと思います。また、お越し頂いた皆様にはアンケートに答えていただき、保存再生に向けてのアイデアをたくさん頂くことが出来ました。

オーナー様からも「たくさんの人に来てもらって、このお家も喜んでます」とお言葉を頂きました。

お越しくださいました皆様、ありがとうございました。今後とも保存再生に向けてご協力のほどお願い致します。



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